研究課題/領域番号 |
11470490
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
岡部 進 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (90012624)
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研究分担者 |
天ヶ瀬 紀久子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (60278447)
高橋 悟 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (20268098)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
16,500千円 (直接経費: 16,500千円)
2000年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
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キーワード | NSAID / 砂ネズミ / サイトカイン / 酢酸潰瘍モデル / ヘリコバクター・ピロリ / 血管新生 / プロスタグランジン / 潰瘍治癒遅延 / ヘリコバクターピロリ / COX-2選択的阻害薬 / 抗炎症薬 |
研究概要 |
実験胃潰瘍に対し、ピロリ菌や抗炎症薬(インドメタシン)はその治癒を遷延させる因子であると報告されている。ピロリ菌感染下にインドメタシンを投与すると、酢酸胃潰瘍の治癒は有意に遅延した。また、その遅延の程度はピロリ菌感染およびインドメタシン単独投与の場合よりさらに増悪する傾向にあった。この事は、ピロリ菌により惹起された胃粘膜損傷がインドメタシンの投与により、さらに悪化する危険性があることを示唆するものである。また、4週後においてピロリ菌感染群およびピロリ菌感染下インドメタシンを投与した群の潰瘍面積に差は認められず、いずれの場合も有意な治癒遅延が観察された。これらの事から、ピロリ菌感染2週後では潰瘍の治癒に粘膜プロスタグランジン(PG)が重要な役割を担っているが、4週後では酢酸潰瘍の治癒はPG産生の低下よりも、ピロリ菌が産生するCag AやVac A等の毒素、宿主の免疫応答あるいは血管新生の抑制などの他の因子が大きく関与してくることが推察された。ラット酢酸潰瘍モデルにおいても、インドメタシンの連続投与によるPG産生の低下が潰瘍の治癒遅延を引き起こす一因であることは知られている。他には血管新生の抑制や肉芽組織の形成異常等の原因が挙げられる。そこでラット酢酸潰瘍モデルを用い検討を行った。インドメタシンの連続投与によりPGE2生合成量は持続的に抑制され、また血管新生の抑制も認められた。血管新生を調節するVEGF蛋白およびmRNA発現量は自然治癒群と比較して有意な差は認められなかった。またbFGF mRNAは潰瘍発生により減少しインドメタシン連続投与群において自然治癒群と比較して明らかに弱いものであった。一方、潰瘍底部においてはHSP47蛋白の発現が顕著に増大し潰瘍の治癒に伴い減弱した。インドメタシン投与群ではHSP47蛋白の発現は亢進しており、ColI(α)mRNA発現およびコラーゲン含量は自然治癒群と比較して強いものであった。 以上から、インドメタシンによる潰瘍の治癒遅延機序として、1)PGの抑制とともにbFGF発現が低下する結果、血管新生が抑制されている、2)潰瘍底部における持続的なHSP47発現の亢進により、過剰なコラーゲンの蓄積を引き起こし肉芽の質が悪化している、ことが判明した。
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