研究分担者 |
兼光 洋子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助手 (40309612)
国安 勝司 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10299258)
井上 桂子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (30279004)
田中 美穂 川崎医療短期大学, 第一看護科, 講師 (10259591)
新見 明子 川崎医療短期大学, 第一看護科, 助教授 (50171153)
高橋 利幸 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (40289210)
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研究概要 |
本研究によってつぎの5つの新知見が得られた。 1.MPQの78の選択肢は適切な翻訳によって日本語概念としての疼痛用語に成り得ていることが示された。MPQにない疼痛用語も見出された。痛みを理解するには痛み強度の時系列的パターン,天候などの物理的環境や対象の社会的背景,現在の心理状態なども考慮する必要があることが確認された。 2.慢性疼痛患者の実験的痛覚閾値は健康者に比べ高かった。また,血中のストレス物質濃度が増大する事例が見出され,慢性痛患者が高いストレス状態にあることが推察された。 3.慢性関節リウマチ患者では炎症部の皮膚血流量が痛みの指標になり得る可能性が示唆された。 4.局所麻酔手術を受ける患者は,限界を越える痛みを体験している可能性があることを見出した。 5.心地よい香りや冷罨法などの看護的鎮痛ケアは薬物と同程度の鎮痛効果を有することが証明された。また,複数のケアを組み合わせは,単独実施よりも鎮痛効果が大きいことがわかった。 本研究の究極の目的は「痛みのより正しい理解」であり,MPQを越える「包括的な痛みの評価尺度」の開発である。そのために,今後も様々な種類の慢性痛患者を対象とした研究を継続実施する。そして,慢性的の種類や特徴と患者の行動や心理状態との関係,さらにはそれらと生体の生理的変化の関係を追究する計画である。
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