研究課題/領域番号 |
11480007
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
体育学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大築 立志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30093553)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2000年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1999年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
|
キーワード | 予測 / タイミング / キャッチ / かわす / フェイント / バドミントン / 筋電図 |
研究概要 |
スポーツや日常生活において周囲の状況に合わせて正確な動作を遂行するために重要な役割をもつ予測とタイミングの能力を、移動標的を道具を介してキャッチするという難度の高い動作であるラケットを用いた打球動作(平成11年度)及び、自分に向かってくる物体を「かわす」動作(平成12年度)を取り上げて検討した。 平成11年度の実験では、短い音を一定時間間隔で3回連続(タイミングキュー)して与え、4回目の呈示時刻に音の代りにターゲット(バドミントンのシャトルコック)を空中に放出する。被験者はスマッシュ動作によってターゲット(シャトル)を打ち(=キャッチし)、指定された的に当てる。 キャッチ実験の結果、熟練者では主働筋である上腕三頭筋、尺側手根屈筋の筋放電がインパクト後直ちに消失するのに対して未熟練者では数100ms残存し、無駄な筋活動が多いこと、熟練者では筋電図のピーク振幅の発現時刻からインパクト時刻までの時間が極めて一定しているのに対して、未熟練者では変動が大きいこと、未熟練者は練習によって体幹に近い筋(上腕三頭筋、僧帽筋)はかなり熟練者に近付くが、遠位筋である尺側手根屈筋の変動は他ほど減少しないこと、すなわち練習によるスキルの上達には近位筋から遠位筋への順序があることが明らかとなった。 また、3回目のキューシグナルから放出までの時間を、標準と異なる場合を少数混ぜて、タイミングフェイントを掛けると、予測より早くターゲットが出現すると、通常の打球主動作中に見られる橈側手根伸筋の筋放電休止期が消失し、動作の滑らかさが低下することが明かとなった。 躱し実験では、4回目の音の代りにボールを落下させ、被験者は机上に手を置いて待機し、手に当る寸前までボールをできるだけ引き付けてから紙一重でかわす。キャッチ実験同様、タイミングフェイントをかけ、かわす動作の運動準備形成過程を検討した。その結果、予測に基づく運動開始の準備完了までには1秒〜2秒の時間が必要であること、その準備状態は少なくとも3秒は持続可能であることが明らかとなった。また、ボールリリース時刻が予測しやすい場合には、最も出現確率の高い時刻に合わせて運動の準備を整えるというストラテジーが採用されていることが明かとなった。うまくかわせた場合とかわせなかった場合の筋電図を比較すると、うまくかわせなかった場合には筋放電開始時刻が遅く、主働筋の活動強度が小さいという、運動指令形成不全傾向が明らかとなった。
|