研究分担者 |
大月 義徳 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272013)
平野 信一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10228801)
松本 秀明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30173909)
千葉 則行 東北工業大学, 工学部, 助教授 (00104133)
宮城 豊彦 東北学院大学, 文学部, 教授 (00137580)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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研究概要 |
標記の課題に対して水文地形学・土壌地形学的アプローチを試みた.とくに今年度は,従来から続けてきた野外観測に加えて,国立防災科学技術研究所の協力を得て,同所の大型降雨装置を用いた浸透-流出実験も実施した.得られた主な成果を以下に列挙する. 1)仙台付近の丘陵地の上部斜面セグメントでは,ソイルクリープが主要な物質移動様式で,そのレートは0〜数cm/年である.比較的大きな移動量は,基岩上面の微凹地を埋める土層で,梅雨季から秋雨季(まれに積雪が多い冬季中の融雪時)に観測される.B層・BC層は,土層単位ごとにスライド的な運動を行うのに対し,A層はフロー状に動く.基岩上面の傾斜が急増する区間でB層・BC層にスライドが発生し,それにひきずられて,そこより下方の区間で,上位のA層(を構成する土粒子)が流動するものと考えられる. 2)下部斜面セグメントには,上記のような過程で供給された土壌物質が,多くの場合厚さ1m程度以下の土層を形成し,それが,仙台付近の丘陵地では数百年度の時間間隔をもって,多くの場合1件あたり1,000m^3程度以下の規模で,主にスライドの様式により除去されている.これが表層崩壊(山崩れ)である.それを誘発するのは,少なくとも百数十mmの総雨量と35mm/時程度の強度の降雨で,パイプ流の急増が関与しているとみられる場合が多い. 3)パイプ流は土層内のいくつかの層位で発生するが,流出量からみれば,B層あるいはBC層にあるものが主力になり,その割合は降雨の強度や継続時間により変化する.このような土層による流出反応の違い,およびその降水強度による変化は,基本的に,O層・A層の大きな透水係数とB層の大きな貯留能に起因する. 4)より強い降雨の場合,とくに基岩の風化層が厚く起伏量が大きな丘陵地では,上部斜面セグメントのうちの急斜部(多くは谷頭急斜面)でも表層崩壊が発生する.降雨の増大に伴い,通常の降雨時には機能していない,より上部の斜面に開口するパイプへの地中水の集中が起きるものと推定される.
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