配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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研究概要 |
弱風時に火災が発生した場合に比べ,強風時の火災被害の規模は遥かに大きくなる。一般に、市街地火災における熱気流は輻射や飛び火と並んで延焼の重要なメカニズムの一つであり,また,熱気流の広がり方はそのときに吹いている風に左右されて消火や避難にも大きな影響を及ぼす。したがって,強風時の市街地火災における熱気流の性状を解明することは、延焼速度の予測および火災時の消火活動や避難計画を立てる上で非常に重要である。 市街地では種々の建物や構造物,植物などが分布して地表面には複雑な形状を持った凸凹が存在する。このような凸凹を粗度と呼び,地面付近の気流性状は付近や風土側の粗度の影響を受けて変化する。通常,複雑な粗度形状を持った市街地に強風が吹く場合には,気流は乱れたものとなり,上空には乱流境界層が発達する。このため,市街地火災における熱気流を考える場合には,乱流境界層内の熱流場の気流・温度性状を知らねばならない。一方,市街地における延焼の予測に関しても過去の実火災に基づく経験式が基礎となっており,上空の高温乱流場の影響,建物の燃焼,輻射や飛び火等の物理的影響を取り込んだ手法はほとんどないのが現状である。 そこで,本研究では有風時の上空の高温乱流場を含めた市街地火災の予測手法の確立に向けて,気流・温度性状を,相似則および物理的影響を取り込んだモデルに基づく数値計算の両面から予測する手法の開発を行った。具体的には,1:市街地における物理延焼モデル,2:市街地火災に於ける火災気流温度の推定手法,3:建物の燃焼場を含んだ乱流境界層内高温熱流場の乱流モデル,の開発・検討を行い,1については物理的基板に立脚した市街地火災の延焼モデルの定式化と仮想市街地での延焼予測,については,過去の酒田市大火および函館市大火における火災気流温度分布の推定と住民避難に対する影響の検討,については低マッハ数近似を用いたk-ε乱流モデルに基づくレビューを行った。さらに,風洞実験により火災後流の高温乱流場における風速と温度の同時計測を行って温度・気流性状を明らかにし,モデルや計算手法を評価するための風速および温度に関する定量的なデータを得た。
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