研究課題/領域番号 |
11480150
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野島 哲 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (30112288)
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研究分担者 |
森 敬介 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (50243887)
渡慶次 睦範 (渡慶次 むつ範) 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30291983)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2001年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 造礁サンゴ / サンゴ礁 / 群集構造 / 個体群動態 / 加入・定着 / 地球温暖化 / サンゴの北上 / 人工増殖具 / 分散 / 多様性 / 共生生物 |
研究概要 |
非サンゴ礁域の天草では、地球温暖化に伴い、この50年間に最低海水温を記録する2月の平均海水温は徐々に増加し、これまで繁茂していた海藻の消失とともに、1995年以降いわゆる熱帯・亜熱帯系要素としての、造礁サンゴやサンゴ礁漁類の北上が顕著になってきた。 1998年の世界的な規模でのサンゴの白化現象の後、沖縄本島においては90%近くの造礁サンゴが消滅した。瀬底島周辺では、白化前と比べて稚サンゴの加入量が著しく少なく、また1、2才の稚サンゴも直ぐにオニヒトデに摂食され、回復の兆しはみられない。本島への卵の供給源とされる慶良間諸島では、白化による被害は少ないものの、オニヒトデによる食害のため死亡率は高く、サンゴ個体群・群集の維持にとって危機的状況にある。もう一つの卵の供給源である石西礁湖では、1998年の白化以障、2001年に中程度のサンゴの白化現象がみられ、10-20%のサンゴが死滅した。地球温暖化の影響により、石西礁湖での夏季の海水温は毎年30℃近くに達し、白化が慢性化する傾向にある。白化による後遺症のためか、サンゴに共生する褐虫藻の光合成活性は低く、サンゴの年間成長も10年前の約半分で推移している。また、加入量は白化以前の瀬底島の加入量に比べると極端に少ない。2002年度以降、礁湖内ではオニヒトデも見られるようになり、慶良間諸島と同じく今後の"異常発生"が予想される。このままの状態がつづけば、日本最大で、かつ卵の主要供給源である石西礁湖のサンゴ礁は壊滅的な状況になると危惧される。 サンゴ礁の再生のための具体的方法の一つとして、これまでの研究をもとに考実された「サンゴ人工増殖具」の先行実験結果では、予想通りの場所に、期待通りの数の稚サンゴが定着し、この人工増殖具を利用してのサンゴ礁の再生の可能性が示された。今後は、さらにこの増殖具の実験を重ね、将来にむけた実用化と、サンゴ礁再生のための具体的方法の策定を進めてゆきたい。
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