研究課題/領域番号 |
11480187
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川戸 佳 東京大学, 大学院・合文化研究科, 教授 (50169736)
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研究分担者 |
筒井 和義 広島大学, 総合科学部, 教授 (20163842)
木本 哲也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60292843)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
15,500千円 (直接経費: 15,500千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1999年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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キーワード | 海馬 / ニューロステロイド / 記憶・学習 / チトクロムP450 / エストラジオール / ストレス / LTP / カルシウム / 神経ステロイド / チトクロムP450c17 / DHEA / チトクロムP450scc / 硫酸プレグネノロン / NMDA |
研究概要 |
脳で作られる神経ステロイドは、海馬では急性的な神経情報伝達の制御を通じて記憶・学習効率を調節すると考えられる。しかし、その合成及び作用に関する機構は、これまでにほとんど解明されていなかった。本研究では、ステロイド合成酵素群(チトクロムP450scc、水酸化ステロイド硫酸基転移酵素、ステロイド合成急性調節蛋白質(StAR)、3β-水酸化ステロイド脱水素酵素、P450c17、P450aromなど)が全て海馬の神経細胞に存在することを明らかにし、海馬の神経ステロイド合成は主に神経細胞が行っていることを証明した。更にHPLC分析などにより、海馬でプレグネノロンから女性ホルモンである17β-エストラジオール(E2)まで一貫して合成されていることを発見した。神経ステロイド合成は、NMDA受容体を介したCa^<2+>流入によるStARのプロセッシング調節を通じて制御されることも初めて発見した。P450c17の存在とデヒドロエピアンドロステロンの合成活性はこれまで脳において確認されておらず、本研究で初めて明らかとなった。 神経ステロイド合成系の発見に鑑み、本研究では神経ステロイドの海馬神経伝達に対する急性作用をも検討した。硫酸プレグネノロンは、4週齢オスラットの急性海馬スライスにおいてNMDA受容体を介したCa^<2+>流入を増加させて長期増強(LTP)成立を促進し、かつ一酸化窒素(NO)の産生を顕著に亢進させることを発見した。またE2は4週齢オスラツトの海馬スライスに於いてLTPの成立を抑制し、その作用は動物の週齢によって異なることを観察した。一方、ストレスステロイドであるコルチコステロンは、4週齢オスラットより調製した海馬スライスにおけるLTPを顕著に抑制し、またNMDA受容体を介したCa^<2+>流入を抑制することを発見した。これにより、急激なストレスにより記憶障害がもたらされる現象を説明できるのではないかと考えられる。
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