研究課題/領域番号 |
11480209
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 (2000-2001) 大阪大学 (1999) |
研究代表者 |
今本 尚子 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教授 (20202145)
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研究分担者 |
米田 悦啓 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80191667)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
15,300千円 (直接経費: 15,300千円)
2000年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1999年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
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キーワード | 核蛋白質輸送 / 核膜孔複合体 / importinβ / β-カテニン / 低分子量GTPase Ran / ATP / 結晶構造 / importin β / 核タンパク質輸送 / βーカテニン / (低分子量GTPase)Ran |
研究概要 |
蛋白質が核膜孔を通過する分子機構に関しては解析が進んでおらず、不明な点が多い。本研究では、核膜孔通過能をもつ輸送担体importinβやβcateninに着目し、通過に必要な分子構造の同定と、それと相互作用する核膜孔複合体構成因子を調べることで、核膜孔を通過するときに必要な分子間相互作用を明らかにすることを目的として研究を進めた。また、輸送反応において、ATPがどのステップで使われているのかを調べ、以下の結果を得た。1)importinβ単体の結晶構造を解き、その結晶構造に基づいて核膜孔通過を担う領域に変異を入れた複数の変異蛋白質を作製した。その中の一つに、核内移行活性をもつが、核外移行活性の低下しているものが得られた。今後、この変異蛋白質を用いて、それが相互作用する核膜孔複合体構成因子を調べていく予定である。2)Importinβとβ-cateninの結晶構造から、立体構造上の類似性を比較すると、核膜孔通過に必要十分なimportinβの領域がβ-cateninの9番目から12番目アルマジロリピートと非常によく似ていることがわかった。β-cateninの様々な欠失変異蛋白質を調整し、invitroとin vivo輸送解析系で調べたところ、10番目から12番目のアルマジロリピートを欠失した変異蛋白質が特異的に核へ移行できないことがわかった。しかし、この3連アルマジロリピートのみでは核へ移行できず、アルマジロの外のC末端領域も必要である可能性が示唆されてきた。β-catenin全長と、10番目から12番目のアルマジロリピートとC末端領域を含むβ-cateninの欠失変異蛋白質は、importihβ同様に、核膜孔構成因子のp62とNUP153と結合することが確認できた。これら因子のどのモチーフと結合するかを、今後検証する。3)当初、Ranを必要とする輸送経路がATPを必要とし、Ranを必要としない輸送経路がATPを必要とすると考えていたが、iMportinβとβ-cateninのin vitro核外輸送解析系を確立して調べた結果、どちらの因子も、その核外移行にはRanを必要としないものの、ATPの要求性がみられた。現在、importinβに関して、in vitroの核外輸送解析系を確立し、その核外移行にはATP-アガロースに吸着される可溶性因子が必夢であることをつきとめている。今後、その因子を同定し、同定した因子がimportinβの核から細胞質への核膜孔通過反応に、どのように関与しているかを解析していく予定である。本研究で得られた知見は、未だ解析の方向性が定まらない核膜孔通過反応を理解する上で、具体的な解析手段を提供するものであり、今後の解析に向けて大きな貢献があると考えている。
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