研究概要 |
本研究は平成11年度から14年度の4年間を予定し,今年度は4年目であった.集大成の最終年の目標を薬学情報教育体系化に力点をおき,医療・薬学情報処理システム開発については前年度までの成果を踏まえ改良とデータ蓄積を行った. 1.平成14年度から新カリキュラムにおいて学部1年生に基礎薬学情報処理演習が必須科目として設けられ教材の作成と15回の講義と演習を実行した.何をどこまで教授するかというところが一番の問題点であった.最終到達目標を文献検索やバイオインフォマテイックスやデータベース構築を考えたが,後二者は学部1年生には理解が行き届かなかった. 2.前年度に引き続き,薬物療法検討会における主要疾患に関する疾病,および個々の薬物療法の内容をパワーポイントファイルとしてCD-ROM化し,また,博士前期課程医療薬学専攻においても医療薬学情報演習の中で,「プライマリケアにおける医薬品の使い方-症候別対症療法」および「保険薬局実務実習報告」もマルチメディア化にも取り組み,学内限定ではあるがイントラネット配信し,学生の自己学習支援に有効であることを実証した.今後内容をブラッシュアップを図り,一般公開を目指したい.また,個々のコンテンツ作成には自ずと限界があり,登録制などによる相互利用可能なセンター(国立情報学研究所など)の設置が望まれる. 3.金沢大学インターネット医療薬学講座で「花粉症-薬剤疫学とEBM」をソニーメディカルチャンネルより配信した.多くの現場の薬剤師から好評を得た.前項の内容に関連する薬剤師の大きなニーズを垣間見ることができた.今後,薬剤疫学研究にも発展させたい. 4.医療・薬学情報処理システムと位置付ける広く汎用性のある地域医療支援システム(Medical Application Service Provider)をインターネット上に構築することができた.平成15年度以降本学にサテライトベンチャービジネスラボが設立され,一つのプロジェクトとして引き続きより緊密な地域薬剤師会との連携を図り改良して行く予定である. 薬学情報処理体系化として,基礎薬学情報と医療薬学情報に分けることが出来ると考え,新カリキュラムにおいて上記「基礎薬学情報処理演習」の他,学部3年次に「医薬品情報学」,「医療における薬を学ぶIII-情報を扱う」,「薬物治療を学ぶ」で体系的に学生が学ぶことが出来るよう配慮し,数多くの教材を作成した.こうしたカリキュラム内容は地域医療支援システムの中で多面的に活用可能な教育システム構築と一般市民向け健康情報の発信に応用し,今後も展開を図りたい.
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