研究概要 |
社会環境の変化が顕著になり、身体活動量の減少が幼児の発育と健康の阻害要因として懸念されるようになってきた。幼児の適正な成長及び肥満を予防し,筋活動を増やすために,どのような食事と運動が必要であるかを検討する目的で椅座位安静時代謝量と食物摂取調査及び生活時間調査をH園の健康な幼児(1-6歳児)94名について調査し、次のような知見を得た。 1)対象児の体位は第6次改訂日本人の栄養所要量(食事摂取基準)に示された成長期幼児の体位基準値に近似し、BMI、ローレル指数から順調な発育を示していた。 2)椅座位安静時測定結果から算出した1分当りエネルギー量(kcal/min)から園児1人1日当り基礎代謝量(基礎代謝量,kcal/day)は第6次改訂食事摂取基準の基礎代謝量および基礎代謝基準値と比較すると性,年齢別共に低値であった。 3)園児のエネルギー摂取量(kcal/day)、園児のエネルギー消費量(Kcal/day)について性別,年齢別に検討した結果,食事摂取基準に示された1日当りエネルギー所要量より低く,特に男児が低値を示した。 4)園児1人1日当りエネルギー摂取量(kcal/day)は基礎代謝量(kcal/day)に対して男児119.2±29.3%,女児189.3±19.2%になった。園児1人1日当りエネルギー消費量(kcal/day)は男児132.0±22.3%,女児158.5±14.7%になった。 従来の栄養指導はエネルギー消費量に見合ったエネルギーを摂取するよう指導してきた。エネルギー消費量が低い場合,過食をおそれてなるべく少なく食べ,太らないようにする。このように単に過食をおそれた時,エネルギ-摂取量不足を招き,基礎代謝を低下させてしまう。さらに,エネルギー消費量低下は空腹感を感じない。このような児は摂取する食物も好き嫌いがはげしく,好きなものだけ食べる傾向を示す。つまり,偏食を発生する。人間はもっと活発に生きることが健康の保持増進には必要であり,そのことが生活習慣病予防には大切と思われる。
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