研究分担者 |
降旗 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 講師 (80242014)
室田 一雄 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50134466)
森 正武 東京電機大学, 理工学部, 教授 (20010936)
大浦 拓哉 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (50324710)
長山 雅晴 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (20314289)
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研究概要 |
上記の研究課題とその関連事項につき,以下のような研究成果が得られた. 本研究では(1)Navier-Stokes方程式における新しい解,特に内部遷移層などの(擬)特異点を含む解の発見,(2)水面波の分岐現象,特に孤立波の新しい数値計算法,(3)振動型積分の高精度計算(4)離散変分法による偏微分方程式の解の高精度計算法の開発などで進展を見た. 岡本とその大学院生小林健太は,水面波の特異点を効率よく計算する方法を研究してきたが,二重指数関数変換を用いることによって,するどく尖った波形でも精度よく計算することに成功した.いわゆるStokesの極限波の計算は,その特異点のために精度が上がらず,メッシュを1000点くらいとらないと信頼がおけないことが多かった.本研究で開発した方法によれば,128点程で十分に信頼できる計算が可能である.さらに,この問題に精度保証計算が使えるかどうか現在検討中である.小林健太は極小局面のスペクトル法による数値計算法を考案し,それが高速に収束することを証明した。この業績により日本応用数理学会論文賞を受賞している。 岡本と長山は,Navier-Stokes方程式の,軸対称な相似解を考察してその解がレイノルズ数無限大の極限で内部遷移層を持つことを発見した.さらに,適当な仮定の下で内部遷移層の存在を証明することができた.Navier-Stokes方程式における内部遷移層はこれまでほとんど例が無く,新しい遷移層を見つけることだけでも意義は大きいが,存在証明もつけることが出来たのは大きな喜びである. 大浦は振動しながら代数的に減衰するような積分の高精度計算法を考案した。こうした積分は既存の方法では精度が上がらなかったのであるが、連続Salzer変換というものを定義することによって、従来の方法では3桁程度しか計算できないものも8桁程度まで精度よく計算できることを示した。また、大浦は円周率を高精度で計算する新しい方法を開発し、日本応用数理学会論文誌に発表した。これによって昨年の日本応用数理学会論文賞を受賞している。
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