研究概要 |
熱処理,溶接,鋳造など相変態を伴う各種の工学過程の温度,変態による組織変化,応力・ひずみ・変形の解析をおこなうためには,対象とする材料に関する多くの材料パラメータを必要とする.すなわち,温度解析については,熱伝導率,比熱,変態解析についてはCCT,TTT線図,変態による体積変化,また応力解析では応力-ひずみ線図,ヤング率,ポアソン比などであって,これらはすべて温度依存性を示すため,各温度における数値データが必須となる.本研究は,日本材料学会・塑性工学部門委員会・材料データベース研究分科会の作業と共同して,これらの材料についてのデータベースを構築し,その妥当性を検証するため,各種のシミュレーションを行ったものである.ここでは,とくに熱処理に用いられる50種以上の鋼種をとりあげ,その機械的性質と各種の熱物質値を総合的に整理することとし,具体的には5%のひずみ以下の応力-ひずみ線図,熱伝導率,比熱,弾性定数,温度-伸び線図,CCT線図,TTT線図のデータを文献,実験から収集した.Excelを用いて収集したデータの階層構造とツールの設計を行い,データが容易に蓄積・利用できるようなデータベースツールを開発し,これに,データを移植してデータベースMATEQを構築した.このデータベースには,応力-ひずみ線図については1000本以上,その他の材料特性については50〜100のデータが含まれており,今後材料の種類やより詳細なデータを導入する契機となっている.またこれらのデータベースの有効性,応用性を検討するために,各種の過程の数値解析に導入して,その検証を行った.
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