研究概要 |
きさげ作業は,高精度なすべり案内面を仕上げうることから,旋盤のベッドなどの加工には不可欠な手仕上げ加工法である.近年,わが国では技術の海外移転にともない熟練技術者不足が叫ばれており,その対策が緊急課題となっている.そこで,本研究では,熟練作業者が行う作業工程の自動化を試みた. 本研究で試作した自動きさげ盤は大型位置決めステージ,加工工具,CCDカメラ,コンピュータおよび制御装置によって構成される.あらかじめ光明丹を塗布してすりあわせを行ったきさげ加工面をCCDカメラによって撮影し,得られた画像を処理してその濃度分布から加工すべき位置を求める.そしてその位置に加工工具を位置決めして,加工をほどこす. 加工装置本体は3自由度直交座標型の大型ステージで,高精度なボールねじとサーボモータから構成された直動機構をXYZの3方向に組み合わせたものである.加工工具としては熟練作業者が使う工具と同様なものを用い,CCDカメラとしてはカラーのものを用いた. まず,"赤当たり"の認識を行い,数10μmレベルの比較的粗い加工を実施する.次に"黒当たり"の認識を行い,数μm程度の高精度な加工を行う.これらはすべてコンピュータプログラムによって制御され,知的な自動化が実現されている.最終的に仕上がったきさげ面の加工精度をまた,摺動実験,表面解析から評価したろころ,本装置で仕上げられた仕上げ面はは平面度で6μm,1インチ四方におけるあたりの数は9個程度で,JIS2級程度の水準であった.
|