研究概要 |
光交換機を含む光情報ネットワーク構築のためには光・極微デバイスの表面実装システム/微小接着システム,さらには,光スイッチが必要不可欠である.従来の光スイッチ用マニピュレータ内のエンドエフェクタ(以下,ミラー)の出力変位は小さく多入出力に対応していない.そこで本研究では,光スイッチ用マイクロメカニズムのための先端が円弧軌跡を描き得るマイクロヒンジに関する研究を行うとともに,多入出力の切り換えが可能な光スイッチを実現するために,大角変位出力が可能なマイクロミラーと複数のはりから構成される静電駆動形マイクロパラレルマニピュレータ(以下,MPM)を提案し,理論解析を行い大角変位出力が可能なMPMの形状・寸法を検討するとともに,微細加工技術を用いた製作プロセスを示し,試作を行い提案したMPMの製作可能性について論じ,以下の結果を得た.まず,光ファイバーの外形(125μm)と光が通るコア部の直径(10μm)の大きさからMPMの製作には微細加工プロセスを用いることとし,複数の香取線香のようならせんはり,それで支えられたミラー,ミラー下部のミラー点支持柱およびはり部を基板に垂直方向に駆動する静電アクチュエータからなる光スイッチ用MPMを提案した.つぎに,その静電気力とはり先端の基板に垂直方向の変位との関係を明らかにし,MPMのミラーの大角変位を得るための形状寸法の決定方法を示した.ついで,MPMの試作を行うために微細加工プロセスの手順を考案し,具体的に半導体微細加工技術を用いて試作を行った.材料にはシリコン酸化膜を用いた.このMPMの全体寸法は500μm×500μm,ミラー寸法60μm×60μmであり,シリコン酸化膜の厚さ2μmである.また,ミラーの動きの異方性を軽減するためにはりを4本とした.この試作により,幅8μm,長さ1000μmのはりをもつMPMを微細加工プロセスにより製作でき,加工精度も形状に影響を与えない程度であることが確認し,提案したMPMが製作可能であることを示した.
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