研究概要 |
本研究では,人間の無意識状態における「体動」という人間の最も本源的な行動を介して,これまで解明されていなかった生理量と身体動作の関係の解明やそれに基づいた介護者や医師の支援について実用化を目指した研究を行なってきた.そのために,病院などのベッドで患者が寝ている間の自然な身体の動作を24時間常時計測し,そのデータを蓄えて処理できる体動モニタリングベッドを開発し,その有効性を臨床実験も含め,実験を通じて明らかにした. 具体的には,まず初年度に体動モニタリングベッドを開発し,さらには,圧力センサ情報を収集するデータ変換部および情報蓄積部の電子回路およびソフトウェアの信頼性を向上させた.介護者や看護婦,医師にとって,患者の体位を適切に変更したり,生理量をまとめて把握したりするためには患者がどのような寝姿で寝ていたか,その際の脈や呼吸はどうであったかという情報を知ることはきわめて重要である.これは,健康の状態を把握するばかりでなく,床ずれを防止したり,患者の苦痛をやわらげたりすることにも役立ち,さらには患者と介護人とのコミュニケーションを保つためにも有用である.そのため,人が寝ている際にどのように体を動かしているか,そのデータを詳細に収集し,3次元グラフィクス表示でわかりやすく直感的に理解できるように提示する機能の実現も行なった。 患者の脈や心拍,あるいは呼吸などの生理量と,患者の体の動きとの関係について,蓄積したデータを分析することにより,関連性を定量的に明らかにした.これにより,逆に患者の微小な体の動きから脈拍や呼吸の数を逐次推定するアルゴリズムを構築することが可能となった.これにより,呼吸バンドや脈拍計測クリップなどを身につけることなく,無拘束で生理量を計測できる環境型のシステムが実現された.
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