研究分担者 |
松本 陽一 信州大学, 繊維学部, 教授 (50021176)
鳥海 浩一郎 信州大学, 繊維学部, 教授 (40016374)
河村 隆 信州大学, 繊維学部, 講師 (70242675)
丸田 明 金井重要工業株式会社, 開発室研究員
柳生 清秀 金井重要工業株式会社, 研究開発室長
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研究概要 |
環境保全と資源の有効利用の観点から繊維のリサイクルが大きな課題となり,廃棄布を反毛した粗悪雑多な繊維から再度紡績糸を製造する技術の開発が必要となってきている.また特殊な機能糸を作成するため紡績性の悪い特殊な原料の紡績が求められている.こうした紡績の要求はいずれも大量生産ではなく,多種少量の生産が条件である.ところが現代の先端の紡績機はすべて高品質・均質な原料を用い大量生産を行うことを前提として開発改良された機械であるため,紡績性の悪い原料の紡績や多種少量形態の生産は不可能である.本研究はこうしたよう要求に適う紡績法として,紡錘式手紡ぎ,フライヤー式手紡ぎ,日本で明治時代に開発されたガラ紡に着目し,こうした機械の紡績原理と技術的,技能的な知恵を生かした紡績装置を開発した. 本研究ではこれらの古い紡績法が粗悪雑多な原料を紡績できる理由は,これらがいずれも加撚と延伸を同時に行うツイストドラフト紡績法であることに着目し,糸形成遷移領域における単繊維が原料側把持力と糸側の撚りによる拘束力とのバランスにより移動し,張力に応じ糸の断面の繊維本数が決まるとして,糸の太さ,撚り率,張力,把持部における原料密度の関係式を求めた. これらの解析を基にガラ紡の原理を生かしたメカトロニクスガラ紡機,フライヤー式張力制御紡績機,スピンドル式張力制御紡績機を開発した.これらにより,反毛繊維の紡績,炭化綿70%のアクリル混紡糸の紡績等が可能であることを示した. フライヤー式手紡ぎの運転には熟練がいるので,それについて計測と考察を行い,手紡ぎのロボット化に関する基礎研究を行った.
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