研究概要 |
1)大口径大電力誘導熱ブラズマによるフラーレン生成とパラメータ依存性 大口径大電力誘導熱ブラズマを用いて,Cフラーレン生成を行い,各種パラメータ依存性を検討した。検討したパラメータは,(1)ガス種,(2)圧力,(3)入力電力,(4)注入材料パウダ種,(5)生成物採取場所である。この結果,以下のような場合についてフラーレンがより多く採取しうることがわかった。(1)Ar主体のガス構成よりHe主体の場合,(2)圧力は20,50および67kPaの中では圧力の低い20kPaの場合,(3)入力電力30,50および70kWでは,30kWの場合,(4)C+Si, C+Fe, C+Ni-CoおよびC粉末では,C+Siの場合,(5)トーチ下から最も離れた900mmで採取した場合である。これらの(1)および(2)を検討する目的で,チャンバ内温度および流速分布を数値解析した。その結果,Arの場合よりもHeの場合,トーチ軸上の温度勾配が大きくなり,Heの場合の方が急冷効果が大きいことが判明した。また,圧力を小さくしていくと軸上流速が大きくなり,ガスが履歴する温度変化が大きくこれも急冷につながることがわかった。これらのことから,フラーレン生成にはチャンバ内の急冷が大きく影響しているのではないかと推察できる。 2)パルス変調誘導熱プラズマ発生装置の開発と過渡熱プラズマの熱的変動 コイル電流を数msオーダで方形波パルス的に振幅変調させる「パルス変調誘導熱プラズマ発生装置」を開発し,各種ガス混合時における熱プラズマの過渡特性を測定した。電源として50kW-MOSFETインバータ電源を用いている。Arガスをベースとして,N2,O2,CO2,H2混合時の過渡特性を検討した。その結果CO2を混合させた場合,その電流変調率,Duly比に対する安定動作領域が小さくなるとともに,過渡特性も遅くなることがわかった。このパルス変調誘導熱プラズマは熱プラズマの急冷,急加熱を繰り返すことになり,上記フラーレン生成への冷却効果を高められる可能性がある。
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