研究概要 |
1.以前提案した3軸磁気センサによる座標計測装置を,実際に人体の3次元運動の解析の研究に投入した.対象はバイオリンの運弓で,4gのセンサによって得た楽器本体付けのセンサとの相対運動を,楽器に付随した座標系上にて観測したところ,中級者は機械的な軌跡を描き,初心者はそれにも至らず,熟達者はこれを滑らかに変形した自分用の軌跡を獲得している様が見られた.これにより,小型磁気センサによる3次元座標計測装置の研究ツールとしての実用性を示した. 2.空間的に離れた位置に置いた3軸の固定磁極3個による9通りの磁場を1軸磁気センサで観測した値,すなわち磁気センサの軸の方向ベクトルと磁場ベクトルの内積から,収束計算によってセンサの座標ど方向ベクトルの算出を行うアルゴリズムを定式化した(数式は論文発表,特許申請まで公開しない).数値シミュレーションにより,このアルゴリズムが正当であることを検証した. 3.数値シミュレーションにより,誤差感度の解析を行った.その結果最悪点でも相対誤差の拡大は3倍程度以内であり,本アルゴリズム及びこれに基づく装置が計測器として現実的であることが示された. 4.試験用のレンジ0.75m立方のハードウェアを手作りにより実現し,本アルゴリズムによる装置が実現可能であることを示した.3軸固定磁極の直交度等不正確であるにも拘わらず,誤差は最大点でも数%に止まり,環境中の鉄製品等の影響も大きくない. 5.上記の結果をもとに,固定磁極の磁場強度を相対的に1桁近く上げてS/N比を向上したレンジl.5m立方,16センサの装置を外注試作した. 6.外注試作先(株式会社ツーデン)に通産省「創造技術研究開発補助金(平成11年度2次補正予算分)」を獲得せしめ,製品化を開始した.
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