配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1999年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
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研究概要 |
本研究の成果は大きく二つに分類でき,高弾性剛性炭素繊維シートを用いた鉄筋コンクリート造壁-柱粱架構のせん断補強型耐震性能向上と,炭素・アラミド・ガラスを素材とする市販の各繊維シートを組み合わせた延性型ハイブリッド繊維シートの開発にある. 前者で対象とした架構のうち「腰壁付きRC柱」では従来腰壁を非構造要素として扱い柱と絶縁することにより変形性向上を求めて来たが,柱と共に腰壁のせん断補強によって優れた水平低抗力と変形性能が得られることを実験的に確認した.すなわち,腰壁の柱接合部に両側から山形鋼をボルト止めし,この山形鋼に柱の腰壁部分をせん断補強したシートを定着するもので,腰壁位置のシート補強範囲,鋼板の高さと幅,柱幅に対する壁厚と偏心等を実験変数として検討し,適切な補強方法を提案した.また,「有開口耐震壁-柱梁架構」では,せん断耐力の向上よりも無開口壁に比べて水平剛性が低いことを利用した靱性の改善を目的にしたもので,柱のシート補強に加えて,上記の腰壁補強で確認した山形鋼を定着に用いて開口部周辺壁のシート補強を提案した.実験では開口位置(中央窓開口と偏心通路開口),補強位置(袖壁と腰壁・垂壁),補強前の損傷の有無を変数として検討し,主に袖壁補強によって効果が得られることを確認した. 後者では,高弾性炭素繊維をベースとしてシートの剛性を確保し,これに破断時歪が大きいアラミド繊維2種とガラス繊維のいずれか1種とを組み合わせて,炭素繊維破断後の伸び能力を高めたハイブリッド効果を示すシートを開発した.用いる素材の種類,組み合わせ比率および重ね方によってハイブリッド効果が大きく異なるが,適切な条件を選ぶと鋼材の降伏現象に近似した歪関係が得られ,これを曲げ補強に用いたRC梁でも効果的な曲げ耐力と靭性確保を示し,有望な補強シートであることが確認できた.
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