配分額 *注記 |
12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
2001年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1999年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
|
研究概要 |
九州地区で運用している九州電力(株)の高密度風観測システム(NeWMeK)の122カ所の観測記録を用いて,九州各地での強風情報データベースの構築と分析を行い,以下の所見を得た。 1.1995〜2000年のNeWMeK観測記録を用いて各観測地点の突風率データを周辺地域での平均風速の増速情報として整理した。この情報は台風と非台風の分別と8方位風向別に整理したものであるが,台風時では九州南部で南風,中部では東風の場合に,また非台風時では九州全域南風の場合に,突風率が高くなることが分かった。 2.上記のデータベースの中から,乱れの強さや最大風速の大きさに着目して地形形状別に選定した幾つかの観測点で突風率の状況をさらに詳しく検討した。観測点によっては2.5を越える突風率を有する場所があり,最大風速が低くても高い最大瞬間風速を記録する地点があることが分かった。 3.南風に特異な突風率増加を示した福岡市今宿地区の地形模型による風洞実験を行ったところ、通常の境界層流れを用いた風速計測値は実測結果との対応が悪いことがわかった。ドライアイスを用いて接近流の下層安定性を強化したところ、平均風速や乱れの強さに対する風向特性について、実験結果はNeWMeK実測結果にほぼ対応することが分かった。 4.しかしながら,河川や谷筋が複雑に錯綜している地域では,実際の現地の風状況に対応する検証が難しく,NeWMeK観測点以外の地点の従来手法での予測精度の再検討が必要であることが分かった。 5.住宅などの強風被害分布を風速との対応で検証したところ,最大瞬間風速が30m/s以上になると急激に被害が拡大していることが分かり,これは強風被害低減を最大瞬間風速と関連して対策すべき示唆を与えている。本研究での突風率に関するデータベースを最大瞬間風速の高精度予測資料として利用できるシステムを企画開発したい。
|