研究分担者 |
日比 一喜 清水建設, 技術研究所, 主席研究員
藤井 邦雄 風工学研究所, 所長
菅沼 信也 東京工芸大学, 工学部, 講師 (80267533)
佐々木 淳 西松建設, 技術研究所, 研究員
須田 健一 佐藤工業, 中央研究所, 主席研究員
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研究概要 |
高層建物および低層建物に作用する変動風圧力を計測し,層ごとの風方向風力、風直角方向風力、ねじれモーメントを算出し,建物各部に生じる準静的な最大層せん断力、最大層曲げモーメント、最大層捩れモーメント,あるいはフレーム各部の最大応力などの最大荷重効果を評価した。 特に,設計用風力の組合せに関しては,各種風力成分の相関,位相平面特性などの情報を系統的に整理し,従来の風力相関ではなく,絶対値相関を考えることの重要性を指摘した。また,風方向風力,風直角方向風力,捩りモーメントなどの各風力成分の,柱断面に生じる最大軸応力度への寄与についても詳細に吟味し,従来の抗力のみを考える設計では柱の最大軸応力度をかなり過小評価することを見い出し,中低層建物でも風力の組合せを考えなければならないことを明らかにした。 ついで,種々の最大荷重効果が発生している時に,真に作用している瞬間風圧分布を詳細に吟味し,最大荷重効果をもたらす真の瞬間風圧分布を系統的に整理した。このようにして得られた最大荷重効果をもたらす瞬間風力分布が「真の準静的風荷重」分布であり,従来から基規準で用いられている平均風圧分布に基づく「準定常的風荷重」分布は,設計用風荷重として適切でないことを明らかにした。また,Load Response Correlation法(LRC)をフレーム応力に適用し,フレーム各部に最大応力をもたらす「LRC風荷重分布」と「真の準静的風荷重分布」の比較を行い,「LRC風荷重分布」の適用性を検討した。 さらには,高層建物フレームモデルによる部材の破断を含めた弾塑性風応答解析を行い,風による建築物の終局限界状態付近の挙動も評価できる風応答評価手法を検討した。 以上,実際に発生する真の風荷重分布形状に基づく性能設計対応型の風荷重評価手法を提示した。
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