研究概要 |
本研究は,平成11年度から13年度の3年間の継続である.研究期間の実績を以下にまとめる。 1.ゼオライトパネル単体及びゼオライトパネルに二酸化チタンを塗布した試験体を用いて,メチルメルカプタン,一酸化窒素,ホルムアルデヒド等の有害物質の吸着・分解性能に関する実験を行った.その結果,(1)パネル単体よりも室内用の蛍光灯を照射し,二酸化チタンを塗布した場合の方が汚染物質濃度の低減効果は大きく,また,濃度の低減速度は,湿度変化にあまり影響されないこと,(2)気相のホルムアルデヒドは,ゼオライト単体への吸着後,酸化チタン光触媒上に拡散して分解反応が進行し,二酸化炭素と水を生成することを明らかにした。 2.東北地域の主要都市及び札幌の戸建て住宅の室内温湿度,空気環境に関するアンケート並びに実測調査を行った.その結果,夏季調査では,(1)室内空気の感じ方,相対湿度,ホルムアルデヒド濃度に対して,住宅の属性,植物の有無,薬品の有無に関する因子の影響、換気方式・運転時間の影響が見られた。冬期調査では,(2)夏期に比べ冬期は乾燥を感じている居住者の割合が高い,(3)実測では全体の約6割が相対湿度40%を下回っていた,(4)部屋別暖房や間欠運転の住宅は他の住宅より湿度が高い傾向が見られた. 3.宮城県内の高齢者施設を対象とした職員及び実習生に対する臭気環境に関するアンケート調査より,(1)居室における臭気が最も問題であり,入居者により近い立場で働く職員ほど,臭気の改善に対する問題意識が高いことがわかった。また,名古屋市に建設された高齢者施設の数室にゼオライトパネルを施工し、室内温湿度,空気質の実測を行い,(2)パネルありの居室の臭気濃度は,なしの場合より低い値を示し,臭気強度,不快度ともに低い値を示し,(3)高齢者施設の染みつき臭の代表的なにおいである尿臭が,パネルありの居室では低く,染みつき臭への効果がある可能性が認められた。
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