研究課題/領域番号 |
11555166
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 満 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30151541)
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研究分担者 |
坂部 行雄 村田製作所, 技術開発本部, 部長(研究職)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
2000年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1999年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | 強誘電体 / 電界制御 / 量子常誘電体 / ペロブスカイト / 同位体効果 / 電界効果 / ラマンスペクトル / 量子強誘電性 / ドメイン壁状態 / 電場効果 |
研究概要 |
(Ln,Na)TiO_3系酸化物のエピタキシャル膜を合成し、その誘電率の温度依存性と電場依存性を調べた。 その結果、バルク体と同様、 誘電率は60K以下で一定となるが、誘電率は180程度であることが判明した。またpolarな量子常誘電体SrTiO_3に静水圧を負荷することにより双極子相互作用を減少させると、誘電率は減少するが、量子ゆらぎが相対的に顕著となる結果、量子常誘電性が顕在化した。これらの結果は(Ln,Na)TiO_3とSrTiO_3が同一の原理で発現する量子常誘電体でありその違いはA-サイトを複合化することによるランダムフィールドによるものであることが見出された。 ランダムフィールドにより誘起する強誘電性とリラクサー的強誘電性 リラクサー的強誘電性発現には平均価数と局所的価数のバラつきが支配因子であると考えられている。本研究では同一価数でもイオンサイズの差異によりクーロン相互作用の違いが顕著となることを利用したランダムフィールドによるリラクサー強誘電体を作製した。Sr_<1-x-y>Ca_xBa_yTiO_3では全体の格子定数を変化させないにもかかわらずx+yを増加させるとまず強誘電性が、次にリラクサー強誘電性が出現することを明らかにした。 量子強誘電体の電場依存性 絶対零度で強誘電性が出現する量子強誘電体では、ドメインは長距離オーダをもつ古典的なドメインサイズをもたずナノサイズメータオーダのドメインからなる"ドメイン壁状態"をとる。この状態に外場としての電場を加えると各ナノオーダドメインは電場に追従し、体積を変化させる。この電場依存性は巨大であり、非常に大きな非線形性を示す。この非線形性は波長変換や、電界制御型誘電体の基本設計に重要であると確認した。 今後の展望 巨大な電場応答は量子強誘電性固有のドメイン壁状態に起因し、この原理はリラクサー的強誘電性の理解を大いに助けるものである。実用材料への発展は本研究での量子ゆらぎを温度ゆらぎに置き換えればよい。
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