配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2001年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2000年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1999年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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研究概要 |
最近、鋼材に対する品質要求の厳格化に伴い、鋼の高純度化、高清浄化が要求されている。マグネシウムは硫黄,酸素との親和力が大きく、強力な脱硫,脱酸剤であり、溶銑,溶鋼中の硫黄,酸素の極低濃度化が可能である。しかし、マグネシウムによる精錬効率が小さく、溶銑,溶鋼への添加時の蒸発損失が大きく、危険を伴い、さらに精錬コストが高いため、実際への適用はほとんど行われていないのが現状である。 本研究では、マグネシウムによる鉄鋼精錬の高効率化、添加操作の安全化、および低コスト化を目的として、マグネシアの炭素、アルミニウム熱還元によりその場製造したマグネシウム蒸気による溶鉄の脱硫、脱酸に関する実験を行い、その結果についてプロセス工学的考察を加えた。実験においては、マグネシアと炭素あるいはアルミニウムの混合粉末を加圧成形したペレットをアルミナ、マグネシア、あるいはグラファイト製管に装入して、溶鉄中に浸漬し、溶鉄からの加熱により生成したマグネシウム蒸気を浸漬管下部の孔よりキャリアーガスとともに溶鉄中に直接吹き込み、溶鉄の脱硫,脱酸実験を行った。実験条件としては、溶鉄,ペレットの質量,キャリアーガス流量,溶鉄の初期硫黄,酸素濃度,温度,ペレットの組成,粒度,分割装入などを種々変化させた。マグネシアの炭素熱還元によるマグネシウム生成速度は小さく、溶鉄の脱硫,脱酸速度は小さく、マグネシウムの供給によりほぼ律速されていることがわかった。マグネシアのアルミニウム熱還元速度は非常に大きく、実験初期の吹込み気泡中のマグネシウム蒸気分圧が高いため、脱硫,脱酸効率が低下することが、実験的、理論的に確認できた。吹込み気泡中のマグネシウム分圧を最適に制御することにより、従来に比較してマグネシウムの精錬効率が飛躍的に増加するため、精錬コスト、およびスラグ発生量の大幅な削減が可能であることを明らかにした。
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