研究課題/領域番号 |
11555201
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
化学工学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
船津 和守 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80037960)
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研究分担者 |
田上 秀一 福井大学, 工学部, 講師 (40274500)
梶原 稔尚 九州工業大学, 工学部, 助教授 (10194747)
木原 伸一 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30284524)
古閑 二郎 埼玉大学, 工学部, 教授 (60142642)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2000年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1999年度: 10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
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キーワード | 高分子成形加工 / 数値シミュレーション / 非ニュートン流体 / 粘弾性流体 / 非等温 / 多相流動 / 二軸スクリュ押出機 / ダイスウェル / ニ軸スクリュ押出機 / 非等温反応 / 非充満 / 二重管ダイスウェル / 相構造発展 / 液滴 |
研究概要 |
本研究の目的は、高分子材料や製品開発の際に重要となる高分子成形加工の非等温反応工程、粘弾性流動、流動下の相構造形成過程を予測する二次元および三次元数値流動解析プログラムを開発し、従来ブラックボックスであったり、明かにされていない特異的な現象を解明し、高分子製品の高機能化につながる数値解析プログラムを開発することにある。開発した解析プログラムを各種押出成形加工工程に適用し実験値と比較することでその有効性および問題点を明らかにした。以下に具体的な研究結果をまとめる。 1.二軸スクリュ押出機内の現象解明:二軸スクリュ押出機の溶融混合部に開発した三次元非等温流動解析プログラムを適用し、400rpmまでの圧力や温度の実験結果を比較的良好に予測でき、反応による分子量分布の変化は定性的に予測ができることを確認した。また、マーカー追跡手法の開発により物理量の履歴を解析し二軸スクリュ押出機内の分配混合および分散混合特性を評価する指標を提案した。これらプログラムにより溶融混合部における混合状態、温度状態をできるだけ均一にする装置形状や操作条件の探索が可能で、従来ブラックボックスであった工程や現象が少なくとも定性的に明らかにでき、多様な高分子材料調整を行う指針が得られるものと考えられる。 2.各種押出成形の現象解明:ブロー成形および中空糸紡糸工程にみられるダイスウェル現象、フィルムキャスティング工程におけるネッキング現象に対して、開発した粘弾性流動解析プログラムを適用し、実用レベルに近い成形加工条件で成形品の形状などの実験結果を定量的に予測でき、異方性応力分布などの予測が可能となった。フィルムキャスティング工程のネッキングなどの成形加工上の問題に対して、シミュレーション結果から現象のメカニズムを提案することにより、レオロジー特性から成形品形状を制御する方法を提案したが、今後実験的検証が必要である。 3.混相流動状態の予測:液液や気液混相状態に流動が負荷された状態を予測する数値解析シミュレーションプログラムを開発した。粘弾性応力の異方性により相が著しく配向すること、液滴を多数の粒子で表現する粒子法により簡略的に液滴の変形や分裂を記述できること、粒子法を用いて二軸スクリュ押出機内の非充満溶融過程の解析が可能であることを示した。しかしながら、実用レベルの成形加工工程へ適用するには、モデルの実験的検証が不十分であること、数値解析手法上の不安定性回避の問題、計算コストの問題、現象のモデル化など多くの課題が残された。 以上から、開発したシミュレーションプログラムには問題点が幾つか残されているが、それらから得られた現象の可視化およびメカニズムの提案は、高分子材料のレオロジー特性や操作条件から高分子成形加工プロセスを予測する有効な手段を与えるものであり、従来の実験的試行錯誤に頼っているプロセスの最適設計に対して、シミュレーションプログラムの適用範囲を明確にして利用すれば、機能性高分子の材料開発コストおよび開発時間の短縮につながるものと考えられる。
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