研究概要 |
サケマス類及びコイ類を対象種としてビテロジェニンの構成蛋白である卵黄蛋白質に対するモノクロナール及びポリクロナール抗体を用いて,免疫測定法を確立し,広く魚種に共通するビテロジェニンの測定系を開発し,実用化を目指すことを目的とした。本年度は昨年度に引き続き研究し以下の成果を得た。 1.抗体の特性:サクラマス精製β′-コンポーネント及びリポビテリン,コイのリポビテリンに対する抗体を家兎及びマウスを用いて作製したポリクロナール及びモノクロナール抗体について特異性を検討した。コイにおいてはβ′-コンポーネントは同定されなかった。2.β′-コンポーネントのアミノ酸配列:サクラマスより精製した蛋白のアミノ酸配列をN端より35個決定した。この配列は報告されているニジマスビテロジェニンの配列の一部と良く一致した。3.ビテロジェニン測定法の確立:コイビテロジェニンの測定法として,化学発光イムノアッセイ(CLIA)を確立した。測定時間は4時間で2-1000ng/mlで測定可能であった。免疫交叉性はサケ科魚類とはなく,コイ科魚類と反応性が認められた。一方,サケ科魚類のビテロジェニンの測定は,酵素抗体法(EIA)及びCLIAを確立した。EIAはポリクローナル及びモノクローナル抗体を用いた固相サンドイッチ法により行った。最小検出濃度は0.3ng/mlであった。また,CLIAでは2種類の抗体を用いたワンステップCLIAを確立した。6-9時間で122 pg/ml-1000ng/mlの測定範囲をカバーした。両方法ともサケ科魚類ビテロジェニンに反応し,サケ科魚類に対してユニバーサル的に使用可能であった。4.ビテロジェニンアッセイの市販品作製:CLIA,EIAを行う一次スクリーニングとして25-1000μg/mlをカバーするsingle radial immunodiffusionの簡易定量プレートの開発を行い,市販する準備が整った。
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