研究課題/領域番号 |
11556051
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内藤 邦彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20188858)
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研究分担者 |
菊池 和弘 独立行政法人・農業生物資源研究所, 主任研究官
山内 啓太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70272440)
東條 英昭 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20041668)
菊地 和弘 農水省, 農業生物資源研究所, 主任研究官
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2000年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | ブタ卵 / 体細胞クローン / 核除去 / 核移植 / MPF / MAPK / タンパク質合成 / Rb |
研究概要 |
本研究の当初の目標は体細胞クローンブタの作出であったが、2000年に体細胞クローンブタの作出成功例が報告されたため、2000年度以降は核移植胚作成の材料となる未成熟卵や初期胚の生理機構と発生制御因子の動態を解析し、クローン作出の効率向上に向けた基礎研究を行うことに主眼を置いた。 (1)まず、成熟卵からのスピンドル除去、体細胞核注入といったクローン作出過程により、発生に重要な細胞分裂期促進因子(MPF)やMAPキナーゼ(MAPK)が除去される可能性を検討した結果、MPFはほとんど除去されず胚発生に影響しないが、MAPKは約20%が除去され発生に影響する可能性を示唆した。 (2)次に核置換されて成熟卵内で凝縮した体細胞染色体にこれらの因子が局在してくるかを検討した結果、チューブリンが集合したものはMPF, MAPKが集合するが、チューブリンが集合しないものではMPF, MAPK共に集合しないことが明らかとなった。またチューブリンが集合したものの率は卵活性化後の前核形成率と良く一致し、チューブリン集合がその後の発生能と関連することを示唆した。 (3)次に成熟過程において減数分裂再開と同時に起こる蛋白質合成パターン変化を制御する因子の候補としてMPFとMAPKを仮定し、これらのmRNAやアンチセンスRNAの卵注入により活性を変動させ、蛋白質合成パターンの解析を行った。その結果、蛋白質合成パターンの変化はMPF活性により誘起されることを見出し、MAPK活性はこの過程には無関係であることを示した。 (4)最後に初期胚発生に特異的に見られる、間期を持たずDNA合成(S)期と分裂期を繰り返す特殊な細胞周期の原因として、S期開始の抑制制御因子であるRb蛋白質の欠如を仮定した。まず初期発生過程のRb発現状態をmRNAと蛋白質レベルで検討し、4細胞期から胚盤胞期までRbは実質的に存在しないことを示した。次にRb発現ベクターの初期胚注入により、Rb発現胚では特異的に初期発生が有意に抑制されることを確認した。 以上の結果は卵の生理機構として哺乳動物のみならず全ての種を含めて初めて明らかにされたものであり、クローン作出の効率を高めるための基礎データとして貴重なものと考えられる。
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