研究概要 |
ウシの難治疾患である牛白血病ウイルス(BLV)による白血病発症と、ウシMHC(BoLA)遺伝子群の中で、最も多型に富むDRB3との相関性を再解析した。まず、BLV感染牛(未発症健康、持続性リンパ球増多症(PL)、地方病性牛白血病)のBoLA-DRB3の塩基配列を決定した。その結果、BoLA-DRβ鎖の中でも特に多型が集中しているβ1ドメインの特定のアミノ酸配列の違いが発症牛と未発症健康牛の間に見いだされた。71,74,77,78位のアミノ酸がリジン/アルギニン,グルタミン酸,アルギニン,バリンである対立遺伝子を少なくとも一有する個体の頻度は、発症牛およPL牛に比較して未発症健康牛で高かった。一方リジン^<71>,アラニン^<74>,スレオニン^<77>,タイロシン^<78>であるアミノ酸をコードする対立遺伝子をホモ接合で有する個体の頻度は発症牛およびPL牛で高かった。従って、リジン/アルギニン^<71>,グルタミン酸^<74>・アルギニン^<77>,,バリン^<78>あるアミノ酸をコードする対立遺伝子を有する固体がBLVによる白血病発症に対して抵抗性である可能性が示された。 さらに、このような抵抗性に関与する対立遣伝子は、制限酵素PstIおよびDraIII認識配列を持たないが、一方他の対立遺伝子は何れかの酵素の認識配列を含むことを利用したPCR-RFLP法を確立した。 最終的に、BoLA遺伝子がBLVによる白血病発症の感受性を規定するかを、BLVの高度感受性実験動物ヒツジを用いて検証中した。則ち、ヒツジのOLA-DRB1領域の塩基配列を解析後、白血病発症に対して抵抗性及び感受性が予測される2群を選別した。各個体をBLVで攻撃しウイルスの増殖、免疫応答、発症の有無を解析した。
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