研究課題/領域番号 |
11557001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
八尾 寛 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00144353)
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研究分担者 |
原田 志津子 聖マリアンナ医科大学, 細菌学教室, 講師 (10218646)
阿部 高明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80292209)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
2000年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1999年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | 有機アニオントランスポーター / 甲状腺ホルモン / アデノウイルス / 血液脳関門 / 脈絡叢 / 遺伝子導入 / トランスポーター / 有機アニオン / プロスタグランジン / 脳・脊髄関門 / 脳・血液関門 |
研究概要 |
中枢神経系においては近年、アルツハイマー型痴呆症、パーキンソン病などの高次脳障害や薬物による中枢性副作用の原因の一つとして様々な内因性物質、外因性物質とその代謝物の脳内蓄積が指摘されている。従って脳内に移行、あるいは排出する輸送機能は疾患の治療に対する効果、副作用を決定する重要な因子である。生体内においては正常な脳機能を維持し、脳内の環境を一定に保つために脳毛細血管、脈絡叢に存在する血液脳関門や血液髄液関門が脳内の物質濃度を制御している。しかしながら今日までの血液脳関門研究は多剤耐性癌細胞に発現している薬物排出輸送蛋白を用いた排出系による脳の保護に重点が置かれていた。一方、従来の脳への薬物送達研究は薬物の脳への移行速度を増加させることをねらっておりこの様な発想では薬物送達効率の点から考えて限界がある。さらに現在脳内移行の評価のためには動物実験しかなく各種制限がある。有機アニオントランスポーターを発現させた培養細胞を用いて、神経系への薬物の取り込みを行う試みが数多くなされてきたが、発現量の少なさや、導入の困難さから研究が進んでいなかった。我々は動物細胞で働くCAGプロモーターを含むコスミドベクターにLST1、LST2のcoding領域を挿入した。このベクターをpackagingしたのち大腸菌に感染させた。以上の方法で作製したコンストラクトをアデノウイルスゲノムDNAと共にリン酸カルシウム法でHEK293細胞に導入した。相同組み換えがおきLST1,LST2組み換えアデノウイルスができた細胞のみがplaqueを形成した。確認するために、PCRによりバンドが認められたサンプル(ウイルス)を15cm dishに培養した293細胞に感染させ、細胞ごと回収しWestern blot法でLST1は81kDaに、LST2は88kDaに、いずれもコントロールの293細胞に対して有意なシグナルを確認した。シグナルが確認できたサンプルからウイルスを大量に感染させ超遠心及び透析によりウイルスを精製した。精製されたウイルス液のvirus titerを蛋白定量により近似したところ、LST1組み換えアデノウイルスは1.26×10^*10PFU/ml、LST2組み換えアデノウイルスは1.48×10^<10>PFU/mlであった。更に近似したvirus titerに従い、濃度を振って希釈したアデノウイルスを96穴plateに培養した293細胞に感染させ、比色法によりIC50を与えるウイルス濃度を求めた。LST1組み換えアデノウイルスはIC50=0.15PFU/cell、LST2組み換えアデノウイルスはIC50=0.2PFU/cellであった。LST1およびLST2組み換えアデノウイルスを培地中に投与したヒト培養肝細胞(PLC/PRF-5、HT-17、HepG2)は胆汁酸、ステロイドホルモンをベースに比べて薬30〜100倍取り込み、効果的な有機アニオントランスポーターの遺伝子導入方法が確立された。
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