研究課題/領域番号 |
11557010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 邦夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90201780)
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研究分担者 |
小清水 右一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50281126)
船越 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40273685)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2000年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | HGF / 再生・修復 / 臓器保護 / 抗線維化 / TGF-β1 / 肝硬変 / 慢性腎不全 / 心筋症 / 肺線維症 / TGF-β / 再生 / 線維性疾患 / 肝細胞増殖因子 / 組織再生 / 組織線維化 / 難治性臓器疾患 / 再生医学 / 病理発生 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
(1)HGF遺伝子治療による肝硬変の防止と治療 肝疾患に苦しむ人は国内だけでも200万人にも及び、中でも肝硬変で亡くなる人は年間約2万人近い。そこでHGF遺伝子による肝硬変治療法の確立を目指した。ラットに肝臓毒の一つであるDMNを4週間以上にわたり投与すると肝硬変を発症し、6週後には10匹中1匹のみが生存した。これに対して、DMN投与開始後4週目からHGF cDNAを用いて遺伝子治療を行ったところ、線維組織が急激に減少するとともに肝機能が改善され、全てのラットが生存した。また、肝硬変の発症過程ではTGF-βの発現上昇と相反的にHGFの発現が低下する一方、HGF cDNA遺伝子治療により線維化誘導因子の実体であるTGF-βの発現が抑制されることが明らかになった。 (2)HGFによる慢性腎不全の改善作用とその作用機構 慢性腎不全はネフロン実質細胞傷害が慢性的に引き起こされる典型的な線維性疾患である。慢性腎不全を自然発症するICGNマウスでは腎不全の進行に伴いTGF-βの発現が著しく増加するが、コラーゲンレベル、尿細管のアポトーシスはTGF-βとよく相関して増加した。一方、HGFの発現はTGF-βと相反的に減少の途をたどり、尿細管の再生はHGFレベルとよく相関した。ICGNマウスに抗HGF抗体を投与すると、腎臓におけるTGF-βレベルは増加し、これと相関して、コラーゲンの蓄積、尿細管のアポトーシスが増加する一方、尿細管の再生は強く抑制された。したがってHGFはTGF-βと拮抗し慢性腎不全の進行を抑制するように機能していると考えられる。 (3)心筋症モデルを用いたHGFによる心筋線維化の阻止と心機能改善 拡張型心筋症のモデルハムスターは生後26週から32週にかけて、心筋の線維化や肥大をもたらすTGF-β1やANPの発現増加と一致して心筋組織の線維化と心機能の著しい低下を示した。これに対して、病態末期に近い27週目からHGFを3週間にわたり連日投与したところ、TGF-β1ならびにANPの発現抑制と心筋の線維化ならびに心機能の著しい改善が認められた。病態末期からの治療においてこのような治療効果が示された例はなく、HGFは拡張型心筋症に対する有効な治療法となるものと考えられる。
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