研究課題/領域番号 |
11557020
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学系研究院, 講師 (50217668)
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研究分担者 |
中島 豊 九州大学, 大学院・医学系研究院, 助教授 (50135349)
石橋 浩晃 九州大学, 大学院・歯学系研究院, 助手 (90254630)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学系研究院, 教授 (70108710)
坂本 泰二 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (10235179)
橋本 修一 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00243931)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
2000年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1999年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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キーワード | 遺伝子導入 / アンチセンス / リポソーム / 転写因子 / デコイ / 血管新生 / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
我々は、「転写因子に対するおとり(デコイ)による病態関連遺伝子の発現抑制」と「HVJ-リポソームによる遺伝子導入」を組み合わせた新しい遺伝子治療の有効性と再現性さらに試薬の安定性などを検証した。 標的は引き続きNF-kB、AP-1、SP-1とし、その支配下の複数の遺伝子発現と細胞増殖への影響を調べた。SP-1デコイは、TNFα刺激した培養癌細胞(A549、U251)でSp-1支配下にないbFGFには変化は与えないものの、VEGF、TGFβ、組織因子発現誘導を再現性良く抑制し、新たにウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)の発現抑制効果も判明した。このuPA抑制は、デコイによる細胞の増殖・浸潤活性抑制に深く関わると考えられる。NF-kBデコイは、家兎バルーン傷害頸動脈内膜肥厚モデルにて、傷害後の血管狭窄の程度を半減させた。デコイの血管壁への導入は、nakedの導入に比べHVJ-リポソーム使用で格段に上昇し、これが血管内膜肥厚抑制にすぐれた治療成績をもたらしたと推測された。AP-1デコイは低酸素刺激に対して有効性を確認した。実用化にはこのような各病態に応じた病因を標的とした因子選択を確立する必要があるが、極めて有効な治療手段としてHVJ-リポソームによるデコイ導入による遺伝子治療の利点が明らかとなった。 ただ、安定したHVJ-リポソームの遺伝子導入活性は、リポソーム調製に使用する脂質の品質(酸化度等)や脂質薄膜の状態に依存している。しかも脂質薄膜の調製後、N2置換保存(-20℃)で、そこそこの導入効率を保証出来るのは1週間程度までである。これは既存のリポフェクション試薬の4℃保存に比べ極めて扱いが難しく、現状では流通を含めた使用保証期間も考えると製品には致命的である。今後の製品化にむけては、安定した代替脂質や保存形態等の見直しなどが必要であると判明した。
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