研究課題/領域番号 |
11557055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山下 静也 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60243242)
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研究分担者 |
酒井 尚彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80294073)
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90252668)
冨山 佳昭 (富山 佳昭) 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80252667)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
2000年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1999年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | 酸化LDL / 受容体 / 粥状動脈硬化 / CD36 / 長鎖脂肪酸 / スカベンジャー受容体 / 酸化LDL受容体 / 動脈硬化 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
CD36は血小板、単球、マクロファージ、脂肪細胞等の細胞膜に存在する膜2回貫通型の糖蛋白で、コラーゲンやトロンボスポンジンの受容体であることが報告されている。私共はCD36欠損症を発見し、遺伝子変異を同定すると共に、CD36欠損症患者のマクロファージでは酸化LDLの結合が約50%低下しており、CD36がマクロファージにおける酸化LDLの受容体として粥状動脈硬化の発症過程で重要であることを明らかにした。また、ヒト大動脈の粥状硬化巣でCD36が強く発現することを見出した。本研究ではかかるCD36に関する細胞及び分子生物学的研究を基盤に、抗CD36抗体を作成し、その腹腔内投与による動脈硬化発症への影響を観察し、さらに発生工学的手法によりCD36ノックアウトマウスの作製を試みた。CD36抗体はペプチド抗体を2種類作成した。さらに、マウスCD36cDNAをプローブとしてマウスC129genomic libraryをスクリーニングしてゲノムDNAを取り、pGKNEOのNeo耐性遺伝子の上流及び下流にエクソンを分断するようにゲノム遺伝子断片を挿入し、ターゲッテイングコンストラクトを完成させた。これをエレクトロポレーションによりES細胞に導入し、Neomycinでスクリーニングして耐性を獲得した細胞を選択し、サザンブロット法により目標部位に相同染色体組換えを確認したES細胞を得た。このES細胞をマウスにマイクロインジェクションしてキメラマウス作製を行い、現在これらの交配によりCD36欠損マウスを樹立中である。今後CD36抗体の投与効果を確認すると共に、CD36欠損マウスの脂質代謝プロフィール、腹腔マクロファージの機能解析、動脈硬化病変などについて検討の予定である。また、SRAノックアウトマウスとの交配によりダブルノックアウトマウスを作成し、動脈硬化惹起性であるアポEノックアウトマウスやLDL受容体ノックアウトマウスとの交配により、CD36欠損が動脈硬化発症に及ぼす影響について検討する。一方、CD36欠損症例の臨床的特徴について、26例の患者の解析を行ったところ、当初の予想に反してCD36欠損症例では高トリグリセリド血症、高レムナント血症を中心とした高脂血症を合併し、インスリン抵抗性が存在すること、また血圧の上昇も認められた。従って、CD36欠損はインスリン抵抗性やマルチプルリスクファクター症候群の新しい遺伝的基盤であることが明らかになった(Lancet2001に報告)。
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