研究概要 |
光老化,特にしわの抑制を目的としたサンスクリーン製剤の開発が行われているが,その評価には長期間を要する。そこで日光弾性線維症の発現を迅速に把握できる実験系が求められている。ここでは中波長紫外線(UVB)が誘導するエラスチン・プロモーター活性を蛍光で観察する実験系の作成を試みた。 1)ヒトエラスチンプロモーターが上流に挿入されたGFP遺伝子を調整し,これをマウス線維芽細胞由来3T3細胞にtransfectした。neomycinでselectionをかけ,3T3細胞の染色休にstableに導入されたものを得た。次いでUVBを(0,50,100,200,400mJ/cm^2)照射した。照射後24時間後の観察では,照射量に応じ,個々の細胞で発現するGFPの蛍光強度の増強が認められた。しかし200mJ/cm^2以上の照射では細胞障害性が強く,細胞が培養ディッシュから容易に剥離した。そこで,照射後の培養時間と細胞剥離との関係を解析した結果,100mJ/cm^2の照射し,18時間後の観察が,剥離がみられず且つGFPの蛍光強度が強い至適な条件であった。 2)100mJ/cm^2UVB照射し,18時間後に回収した3T3細胞をヒロサキヘアレスラットの皮下に注入した。次いで,光ファイバー蛍光分光測定装置(SPEX Fluorolog-3,Jobin Ybon-Horiba Group社製)にて外表よりGFPの蛍光強度を測定し,定量化を試みた。その結果,導入細胞を注入した部位で蛍光強度の優位な上昇が認められた。この検出された蛍光の測定波長はGFPの測定波長と一致していた。この様に明らかな優位差を認め,満足すべき結果が得られた。この結果は今後の新しいサンスクリーンの効果をin vivoで観察出来る可能性を示唆した。
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