研究概要 |
皮膚特異的T細胞としてはヒトでCutaneous Lymphocyte Associated antigen(CLA)を発現しているT細胞の存在が指摘されている。CLA陽性T細胞は血管内皮細胞に発現しているE-セレクチンを介して皮膚に浸潤していることが示唆されている。マウスでは表皮内にdendritic epidermal T cells(DETC)が,真皮には我々が報告した.dermal Thy-1^+DCが存在する。本年度はIL-7トランスジュニックマウスを作成、免疫組織化学的にIL-7tgマウス表皮および真皮に存在するT細胞について検討した。IL-7tgマウスでは加令によって脱毛を伴なう皮膚炎が誘導された。免疫組織化学的検討から,脱毛を伴なう皮膚炎部では真皮に多数のγδTCR陽性細胞の浸潤がおこること,その浸潤は毛嚢に一致して始まり次第に毛嚢を破壊する過程をとること,表皮におけるT細胞の増数と真皮におけるT細胞の増値は独立して行なわれている可能性が示唆された。そして真皮における増殖はdermal Thy-1^+DCの増殖による可能性があるものと推測した。本年度はヒトのアトピー性皮膚炎(AD)でのケモカイン(TARC)の発現とそれに対応するCCR4を発現しているリンパ球について,そのCLA発現やCD25発現についても検討した。その結果ADの表皮ではTARCの強発現がみられること,末梢血ではCD4^+CCR4^+細胞が有意に増加していること,CD4^+CCR4^+ではCD4^+CCR4^-に比較してCLA,CD25の発現が増加していることが示された。このことからADでは末梢血中のCD4^+,CCR4^+細胞がTARCによって皮膚へ浸潤していることによって病変が形成されることが示唆された。
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