配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2000年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1999年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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研究概要 |
非水庖型魚鱗癬様紅皮症(NBCIE)は,臨床的に粗大褐色調の板状鱗屑を特徴とする常染色体劣性葉状魚鱗癬(Lamellar ichthosis, LI)とそれ以外の紅皮症に微細白色鱗屑伴う病型に分類されるが,これらの症例の一部に周辺帯(CE)形成異常とトランスグルタミナーゼ1(TGase 1)の変異が検出されている.CEの産生にはTGase 1が必須であることは,TGase 1ノックアウトマウス(TGase 1^<-/->)の解析によりすでに証明したが,TGase 1異常がLIに見られるような魚鱗癬の表現型の形成につながる理由は不明であった.TGase 1^<-/->はCEの欠如と,皮膚バリア機能の破綻を示し,新生仔期に致死的であるため,皮膚をヌードマウスに移植して成熟したTGase 1^<-/->皮膚を形態的に観察した.移植TGase 1^<-/->皮膚では,電顕的に角層のCEは欠如したままで,表皮の分裂増殖,角質増生が著明となり,LIの表現型に似た所見を示した.この魚鱗癬様皮膚では皮膚バリアー機能は正常に維持されることから,TGase 1欠損皮膚が羊水内から空気中に暴露されると角化細胞は分裂増殖を活発にし,厚い角質を産生して障害されたバリアー機能を代償し,外的環境に適用しようとする.その結果として,魚鱗癬様の表現型を示すに至ったと推測された.さらに,TGase 1^<-/->では,角質細胞間脂質の配列は乱れ,層板顆粒から放出された脂質が適切に角質細胞間に分布できないことから,TGase 1はCEの産生のみならず,角質細胞間脂質の統合性維持を通じて皮膚のバリアー機能の調節に極めて重要な役割を果たしていると考えられた.
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