研究課題/領域番号 |
11557077
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
胎児・新生児医学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡村 州博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90124560)
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研究分担者 |
大和田 一成 アトムメディカル株式会社, 浦和工場, 技術部課長(研究職)
木村 芳孝 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40261622)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2000年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | 胎児心拍変動 / 複雑系 / 時間周波数解析 / ガンマ分布 / ウェーブレット変換 / 胎児心拍数変動 / フラクタル構造 |
研究概要 |
我々は現在まで超音波ドプラ法を用いて胎児心拍間隔をサンプリングし自己回帰法を用いたスペクトル解析により周波数分解能の高い先端的システムを構築してきた。このシステムを用い胎児心拍変動に含まれる自律神経の活動を中心周波数0.1Hzの周波数帯域(LF領域)として分離し、統計的には胎児仮死の進行とともにLF領域は有意に減少すること、従来判定不可能であった心拍変動の少ない状態での鑑別診断を可能とであること、従来sinusoidal heart rate patternといわれた心拍変動のパターンの周波数解析的に解釈可能なことなどが分かった。しかし、同時に胎児の通常の心拍が定常性を示すのは高々300beatsであり、定常性を前提としたスペクトル解析では刻々と変化する胎児の自律神経活動を全体として把握するには不十分であることが判明し、従って、非定常状態を仮定した心拍変動の解析手段を用い、上記スペクトル解析の結果を表現する新しい方法の構築が必要となった。これには心拍変動を複雑系として捉え、これに基づく非線形解析的手法の導入が必要であった。 我々は非定常解析の手法としてウェーブレット解析を用いLF領域の時間変動の特性を研究し妊娠20週以降の胎児においてLF領域の1時間単位での変化は観測時間に関係なくガンマ分布を示すことが明らかにした。また、ドプラ信号から精度の良い胎児心拍間隔を得るために、超音波ドプラ装置を改善し300Hzから1000Hzのフィルターをかけ高周波数領域の特性を利用する新しい装置を製作した。これにより今まで困難であった妊娠20週以前の胎児心拍変動を計測することが可能となった。また、この妊娠週数ではガンマ分布以外の分布が存在することを突き止めた。この新しい分布は妊娠17週以前の心拍変動に有意に多く見られ、1/x形の分布であった。 今後これらの生理学的意味付けと、これらを計測する汎用性の高いシステムの構築が必要と考えられる。
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