研究課題/領域番号 |
11557084
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶌原 康行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30196498)
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研究分担者 |
山本 成尚 京都大学, 医学研究科, 助手 (30253298)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
河田 則文 大阪市立大学, 医学部, 助手 (30271191)
飯室 勇二 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252018)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
2000年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1999年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | NAC / 抗酸化剤 / 肝不全 / 星細胞 / 肝線維化 / PDGFレセプター / カテプシン / 肝硬変 / 肝細胞 / 細胞外マトリックス / 細胞培養 |
研究概要 |
外科領域の肝不全は、障害肝の肝切除術後や消化管手術に関連した臓器虚血、重症感染を契機として発生し、その病態の解明と対策は急務である。最近、肝細胞外マトリックス(ECM)が血中肝線維化マーカーとして測定が可能になり、内科領域で肝硬変、慢性肝炎等の慢性肝疾患の診断、病態の検討に応用されているが、外科領域で重要な急性侵襲に対する評価及び肝障害の病態との関連に対する検討は全くなされていなかった。これらのパラメータを用いて肝切除術前後の変化を調べたところダイナミックに変化し、術前の肝予備力及び術後の肝障害発生のメカニズムと密接に関連していることが示唆された。また、肝ECMの産生に重要な役割を担っている星細胞に注目し、その活性化制御によって肝障害の進行を阻止できる可能性が示された。星細胞活性化を制御する種々の物質を検討した結果、グルタチオンの前駆物質であるNAC(N-acetyl cysteine)が強力に星細胞の活性化を抑制し、ラット肝硬変モデル、胆管結紮モデルで線維化を完全に防止し、また完成された繊維肝の治療にも有効であることが判明した。さらに、この機序が単に抗酸化剤としてのラジカル消去のみならず、星細胞の増殖を促進するPDGFの受容体を細胞膜表面で分解し、カテプシンの活性亢進によることも判明した。NACは、すでに欧米では抗炎症剤としてエイズ、ARDSの治療として臨床応用されており、また、本邦ではアセトアミノフェン中毒の治療や去痰剤として使用されている。従って、今回の知見に基づいて慢性肝炎から肝硬変への移行阻止、肝硬変治療、肝不全防止への応用は、剤型、投与量・方法の問題が解決されれば可能であると考えられる。また、星細胞・肝細胞の供培養形の研究から、星細胞は肝細胞の増殖に大きな役割を果たしていることが示唆された。
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