研究課題/領域番号 |
11557108
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中込 忠好 帝京大学, 医学部, 教授 (90198052)
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研究分担者 |
中根 一 帝京大学, 医学部, 助手 (00266305)
久保田 勝 帝京大学, 医学部, 助教授 (30246061)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
増田 広之 生化学工業株式会社東京研究所, 生物研究室・主任研究員
井ノ口 仁一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (70131810)
成田 孝而 帝京大学, 医学部, 助手 (90237602)
金光 秀晃 帝京大学, 医学部, 講師 (10129992)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2001年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1999年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | Rat / glucosylceramide / sphingomyelin / L-PDMP / arachidonic acid / penumbra / hippocampus / hypothermia / delay neuronal death / ganglioside / 中大脳動脈閉塞モデル / グルコシルセラミド / 水迷路 / セラミド / スフィンゴミエリン / ceramide / D-PDMP |
研究概要 |
神経細胞死が膜の情報伝達系を介して細胞質の蛋白質リン酸化酵素を活性しDNAの異常を起こし、組織学的にはアポトーシス小体や核の断片化などの所見からアポトーシスの現象として認められている。生体膜では細胞内小胞輸送や情報伝達の機能をもったタンパク質の周りにはスフィンゴ脂質やコレステロールが集積し、効率よくその機能を発揮す「rラフト」が注目されている。このラフトの機能を支える脂質二重層にはコレステロールとメフィンゴ脂質(SM、ガングリオシドなど)が密にパッキングされてる。本研究は虚血負荷における脂質二重膜の膜リン脂質、スフィンゴ脂質の代謝過程を検討し、この結果から虚血に対する神経細胞死の保護を目的として保護物質、低体温や虚血耐性による効果を脂質生化学的に研究した。 1)L-PDMPの膜脂質の保護作用-スフィンゴ糖脂質の合成促進をするL-PDMをラット中大脳動脈の永久閉塞モデルを作製し1週間後から14日間投与した。Penumbra領域の大脳皮質ではガングリオシド生合成の中間代謝産物のグルコシルセラミドが1.5倍に増加し、記憶や学習の機能をもつ海馬では2倍に増加したスフィンゴ脂質の増加は膜の受容体であるラフトの構成脂質を保護し、効率よく機能させた。その結果としてモリスの水迷路実験では、L-PDMP投与ラットで学習の習得時間が短縮した。2)低体温におけるアポトーシスの抑制-砂ネズミの一過性前脳虚血を用い、低体温が虚血・再潅流時の遊離脂肪酸、特にアラキドン酸の変動(減少速度)にどのように影響するかを検討した。虚血低体温群の再開通後のアラキドン酸の減少が抑えられていることは、血流再開による活性酸素発生に伴うフリーラジカルやロイコリエンの産生を、低体温が抑制して遅発性神経細胞死の保護作用に関与していることを示唆した。3)虚血耐性による細胞死保護-虚血耐性を獲得した砂ネズミでは、虚血による遊離アラキドン酸量が抑制されていたが、耐性獲得によって上記遊離脂肪酸の放出に関する機構に変化が起こり膜保護作用をしめしたと考えられる。以上アポトーシスを抑制する機構について障害されたラフトの再生にL-PDMPの効果が認められた。さらにアラキドン酸の遊離の抑制に非致死的な虚血が有効であり、低体温ではアラキドン酸の過酸化を抑え、ラジカルによるDNAの損傷を保護しアポトーシスを抑制したと考えられた。
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