研究概要 |
本研究の主旨を説明し、同意が得られた口腔癌患者の原発巣癌細胞および末梢血中癌細胞を採取し、サイトケラチン19、CD44とそのバリアントフォーム(s,v6,v9)、およびMMPの遺伝子発現をRT-PCR法で比較した。なお、原発巣癌細胞は、手術材料の薄切切片からlaser-captured microdissection法で採取した。 得られた結果は以下の通りであった。 1抗上皮抗体でラベルした磁気ビーズで血中癌細胞の捕捉を行い、5mlの全血から50個の癌細胞の検出が可能であった。 2サイトケラチン19mRNAは、原発巣癌細胞および血中癌細胞の半数にその発現が見られた。 3CD44mRNAは、原発巣癌細胞には発現していなかった。一方、血中癌細胞ではCD44およびそのバリアントフォームのいずれもmRNAの発現が多くの症例で観察された。 4MMP(2,7,9)mRNAの発現は原発巣癌細胞で発現していたが、血中癌細胞には発現していなかった。 5ヌードラット背部皮下に高転移能をもつ舌癌由来細胞株SCCC,SAS,N2NAを移植し、所属リンパ節、肺などに転移巣を作成した。現在、原発巣、転移巣、および血中癌細胞における上述の遺伝子発現を比較検討中である。 以上の結果から、原発巣癌細胞と末梢血中癌細胞のそれぞれの遺伝子発現様式は異なっていることが示唆された。
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