配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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研究概要 |
(1)歯肉溝滲出液中の骨代謝関連指標物質の同定 骨関連蛋白としてオステオカルシン(OCN)およびオステオポンチン(OPN),骨関連ペプチドとしてl型コラーゲンC末端プロペプチド(P1CP),カルシウム結合性蛋白としてカルプロテクチン(CPT),以上の4物質を有力指標とし,その同定を試みた。健康な歯周組織をもつボランティアより歯肉溝滲出液(GCF)を採取し,分析を行った結果,各物質が同定され,骨代謝に関連するこれらの物質がGCF中に確かに含まれることが明らかとなった。 (2)歯周炎患者の歯肉溝滲出液に含まれる骨代謝関連指標物質の定量 歯周炎患者のGCF中に含まれるこれら物質の定量を行った。その結果,歯槽骨吸収を伴う部位からのGCF試料では,OCN, OPN, P1CP, CPT,いずれも健常部位より高い測定値が得られた。さらに,歯肉炎症指数(Gl)およびプロービングデプス(PD)といった臨床指標と正の相関関係を示していた。とくに,PlCPとCPTでは強い相関関係が認められた。OCNおよびOPNと臨床指数との相関は弱がった。さらなる検討の結果,P1CPは歯周炎における骨代謝を反映する有用なマーカーとなりうること,一方,CPTは炎症程度を鋭敏に反映するマーカーであることが強く示唆された。 (3)歯槽骨吸収診断指標物質の確定 P1CPが歯槽骨吸収診断キットの指標物質として有用であることが結論づけられた。その理由として,1)ポケット部位と健常部位での含有量の差が顕著であること(平均6.1倍),2)臨床指標と強い相関関係を示すこと,3)疾患活動度の一指標とされるプロービング時の出血(BOP)の認められる部位で著明に増加すること(平均5.5倍),の3点が挙げられる。本研究によって,歯檀骨吸収を反映できるGCF・P1CP測定キットの開発の基礎ができたものと確信する。
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