研究分担者 |
小林 智 協和発酵工業(株), 医薬総合研究所, 所長(研究・開発担当)
上館 民夫 (上舘 民夫) 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70185990)
藤田 健一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (60281820)
有吉 範高 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00243957)
高橋 芳樹 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (80292019)
|
配分額 *注記 |
8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1999年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
研究概要 |
薬物相互作用の主な原因のひとつに,ヒトにおける主要な薬物代謝酵素であるチトクロームP450(CYP)の阻害が含まれる.そのため近年ではCYPを阻害する物質は医薬品の開発段階で除外される流れにある.この阻害作用の有無の予測を開発の初期に行うことができれば大幅な効率化につながると期待される.このことから,膨大な数の候補化合物をヒトCYPに対する影響を基準に絞りこむための系として,ハイスループットスクリーニング(HTS)システムによるヒトCYPの触媒活性測定法の開発が待たれている.ヒトCYPの触媒活性の測定を大規模に行うためにはヒトCYPが大量に必要とされる.そこで本研究では,大腸菌を宿主としたヒトCYPの大量発現系の樹立,およびそれを用いた薬物相互作用の大規模試験系の確立を目的とした.13種類のヒトCYP(CYP1A1,CYP1A2,CYP1B1,CYP2A6,CYP2B6,CYP2C8,CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6,CYP2E1,CYP3A4,CYP3A5およびCYP3A7)をそれぞれ大腸菌に発現させることに成功した.大腸菌に発現したヒトCYPを用い,カルシウム拮抗薬であるニカルジピンが抗癌薬であるタキソールのCYP2C8による代謝を強力に阻害することを見出し,大腸菌に発現したCYPを用いて薬物相互作用を検討できることを示した.大腸菌に発現したヒトCYPをHTSに応用するため,これらの大腸菌を全容10Lの大量培養装置にて培養し,一度に大量のCYPを得ることを可能にした.我々はさらに,マイクロプレートを用いてクマリン7-水酸化酵素活性(CYP2A6)および7-エトキシレゾルフィン0-脱エチル化酵素活性(CYP1A1)を測定する系を確立した.これらの系を応用することによりヒトにおける薬物相互作用を短時間に,しかも大量に検討できるようになり,医薬品開発の効率化に貢献できると期待される.
|