研究課題/領域番号 |
11557191
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
医薬分子機能学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山崎 浩史 金沢大学, 薬学部, 助教授 (30191274)
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研究分担者 |
横井 毅 金沢大学, 薬学部, 教授 (70135226)
島田 典招 第一化学薬品(株), 素材技術研究所, 所長(研究職)
中嶋 美紀 金沢大学, 薬学部, 助手 (70266162)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2000年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | P450 / ヒト肝ミクロゾーム / フェニトイン / テガフール / 個人差 / P450組成比 / 共発現系 / 薬物相互作用 / チトクロムP450 / CYP3A4 / 組換えヒトP450 / NADPH-P450還元酵素 / チトクロームb5 / 大腸菌 / テストステロン |
研究概要 |
実験動物との種差の問題から、ヒト由来の組織、培養細胞又はヒト酵素遺伝子発現系を用いてヒトにおける代謝反応を明らかにすることが必要となっている。第1相の薬物代謝反応において大きな役割を果たすチトクロムP450酵素(以下CYP又はP450)を中心にいくつかのヒトの薬物代謝酵素が試薬として製造あるいは輸入販売されている。最近市販されているP450関連試薬では、P450だけでなく、NADPHからの電子伝達に必須なNADPH-P450還元酵素(NPR)を同時に発現させた、いわゆる共発現系のミクロゾームが主流になっているが、各種発現系の選択とその結果の解釈に議論がなされている。我々は、ヒト肝に存在する薬物代謝型の主要分子種であるP450についてNPRとの共発現pCWュプラスミドを大腸菌に導入し、その膜画分の調製した。さらに大腸菌膜を用いたP450共発現系にさらにNPRやチトクロームb_5(b_5)を添加して触媒活性の至適条件を検索し、市販のリンパ芽球、バキュロウイルス発現系やヒト肝ミクロゾームの薬物酸化酵素活性と比較した。 発現機構が未解明である薬物相互作用の一つにフェニトインとテガフールがある。抗てんかん薬フェニトインと抗癌剤テガフールを併用することによりフェニトインの血中濃度が上昇し、意識障害などのフェニトイン中毒と思われる臨床症状が現れることが報告されている。そこで本研究では、これらの薬物相互作用の発現機序を解明するために、ヒト肝P450によるテガフールとフェニトインの代謝について検討を行った。ヒト肝ミクロソームによる5-FU生成は、主にCYP1A2、CYP2A6およびCYP2C8によって触媒され、これらのP450の寄与の程度はヒト肝P450の組成比に依存して個人差が認められることが示された。ヒト肝において、定常血中濃度(100μM)付近のテガフールからの5-FU生成は主にミクロソーム画分の酵素(P450)によって触媒され、テガフール濃度が高い場合にはサイトゾル画分のチミジンホスホリラーゼにより触媒されることを示した。ヒト肝ミクロソームによるフェニトイン酸化活性は肝サイトゾルの添加によって増加し、サイトゾル存在下の3′,4′-diHPPH生成活性は主代謝物である4′-HPPH生成活性と同レベルであった。4′-HPPH生成には主にCYP2C9、一部CYP2C19が関与した。一方、3′,4′-diHPPH生成には主にCYP2C9、CYP2C19およびCYP3A4が関与しており、これらのP450の寄与の程度はヒト肝P450の組成比に依存して個人差が認められることを明らかにした。
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