配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
病原性大腸菌の産生する治療薬としての応用を目指して、ベロ毒素の細胞内侵入を阻害する糖鎖受容体アナログの化学合成とその生化学的評価を行った。ベロ毒素が細胞内に侵入する際には、腸内細胞に多く発現しているGb3セラミドを認識結合することが知られている。そこで、Gb3の糖鎖部分α-Gal-1,4-β-Gal-1,4-β-Gulとセラミド部分に化学修飾を加え、最も結合の強い化学修飾体を探索することとした。ベロ毒素とその細胞膜糖鎖受容体であるGb3セラミドとの結合を表面プラズモンセンサーにより検出するため,ベロ毒素の代替として細胞毒素abrin Cをセンサープリズム上に固定化し、Gb3糖鎖をリガンドとして注入して、そのセンサグラムより結合-解離の速度定数、および、解離定数を求めた。 その結果、結合反応速度定数k_A=7.24×10^3、解離反応速度定数k_B=7.59×10^<-4>、結合平衡定数K_A=9.53×10^6、解離平衡定数K_B=1.05×10^<-7>と言う値を得た。SPRセンサーの感度はリガンドの分子量に比例するため、Gb3糖鎖の分子量が504、Abrin Cの分子量は約60,000であることを考えると、今回の結果は、仮に、Gb3糖鎖をセンサープリズム上に固定化し、Abrin Cの検出を行った場合、10^<-9>(ナノモル)レベルのAbrin Cが十分に検出可能であることを示している。表面プラズモン共鳴装置を用いた解析から、Gb3糖鎖の細胞毒素への結合能評価ができ、10^<-9>(ナノモル)レベルのAbrin Cが十分に検出可能であるという有望な結果を得た。糖鎖受容体アナログは毒素やウイルスの検出装置としてのみならず、医薬や機能性高分子素材(除菌フィルターなど)への応用も可能で、その方面の検討も視野に入れて研究を進めている。
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