研究分担者 |
木内 正人 大阪工業技術研究所, 材料物理部, 主任研究官
吉村 智 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40294029)
杉本 敏司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70187665)
中嶌 祐司 株式会社日本アルミ, 技術研究所, 主任
気田 健久 光洋精工株式会社, 総合技術研究所, 研究員
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研究概要 |
電源・電極等の構造がシンプルである直流グロープラズマをもとにして、最近の半導体による制御技術により、印加電圧の極性を10kHz程度で交番させながら発生させるプラズマを開発し,インバータープラズマと名付けた。その特長は,基本的には直流グローであるため,大面積の表面処理に対しても装置コスト,運転コストが有利である。一方,交番電界によりチャージアップが緩和されるため,絶縁性の表面の処理も可能であり,応用範囲は広い。 本研究では、まず成膜用としてのインバータープラズマの基本的な特性を測定を行い、以下のことがわかった。 1.繰り返しパルス駆動とし、ON/OFFタイミングを0.2μsec以下の精度で制御することにより、アーキングを防止しながら、実用性の高い10^<10>cm^<-3>台半ばの密度(アルゴン雰囲気、ピーク密度値)のプラズマが生成できた。 2.スパッター成膜実験を行い,付着性が悪化するガス圧領域(260Pa,Ar)においても、電界を交番させる機能によりイオンのアシスト効果が生じ、付着性の良い膜が作成できることを確かめた。 以上から,インバータープラズマが実用的な成膜に応用可能であることを実証した。 次に、低い摩擦係数を持つダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜の作成実験を行った。メタンガス(100〜600Pa)を主成分とし、シリコン基板ならびにSUS304基板上に約1μmの厚さの膜が1.5μm/hの速度で生成できた。そして、得られた膜の基本的な性質については、段差計、硬度計、AFM、FTIR測定、ラマン測定により物理的評価を行った。また,金属部品どうしを摺動させる実用試験を行い,成膜後は動摩擦係数が減少することを確認した。今後の課題としては、SUS基板における膜の密着性の改善が挙げられる。
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