研究概要 |
初年度に一通り組み上げ・開発した顕微鏡システムの特性を把握し,かつ最高性能を実現できるよう改善すべきところを見極めた.また,実際にラット摘出心を用いてCa2+のウェーヴとトランジエントの測定を試みた.具体的には,ラットの摘出心の経冠動脈にカルシウム蛍光指示薬を負荷し,顕微鏡チャンバーに固定,Tyrode液で灌流した.指示薬としてはFluo3をまず用い,Fluo-4,Calcium Green-1,Indo-1等の指示薬についても適宜試した.実験条件の最適化は,前年度に得られた知見をもとに行い,特に,使用する励起光源の検討(波長,パルス幅,パルスピーク強度,繰り返し周波数),励起焦点数および焦点密度,蛍光指示薬の選択と摘出心への導入条件(温度,蛍光色素濃度,導入時間)に重点をおいて研究を遂行した. また,最適化された実験条件での,蛍光画像検出の時間分解能,観察可能な最大深度を実験的にもとめ,その結果を理論的に解釈した.同時に,これらの実験により得られた結果から,ウェーヴ及びトランジエントの時間発展を解析した.これらのデータを培養心筋,単離心筋,心筋組織塊などで得られた従来のデータと比較し,また,比較対象がないデータについては従来唱えられてきた説との整合性を確かめた.
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