研究課題/領域番号 |
11610039
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 章則 東北大学, 大学院・文学研究科, 講師 (10187990)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 徂徠学 / 地方文人 / 熊阪台州 / 曳尾堂 / 半沢文庫 / 青柳館文庫 / 青柳文蔵 / 蔵書 / 地方的展開 / 福島県伊達郡保原町 / 地方知識人 / 学問者糾合の靭帯 / 人的交流のネットワーク / 旧蔵書 |
研究概要 |
本研究は、荻生徂徠の学統の地方的展開とその思想史的意義の解明を目的とした研究であり、その端緒として取り上げたのが福島県伊達郡である。当該地域は、18世紀後半、徂徠学派に属す熊阪台州が地域の知識人層を糾合したところであり、その活動はこの地域のみならず全国的なひろがりを持った。台州のもとに集った知識人は、豪農、医者、僧侶、零細な農民など諸階層を含むもので、徂徠学は彼らの基礎的教養の形成に大きく機能し、彼らの語彙や思想は均質化・共通化し、国内各地とのネットワーク形成も、そうした共通の思想と言語によって確保された。ところが、19世紀になるとこの地域の思想状況には変化が生じ、国学・心学などの徂徠学以外の思想的な要素が入り込むようになった。それまで地域の学問者糾合の靭帯として機能していた徂徠学は、逆に思想状況の分節化を促す触媒の役割を果たしたのである。 上に示した本研究担当者の、この地域の思想状況についての俯瞰図をより明晰なものとするのが本研究の目的であり、主に次の諸点を明らかにすべく調査と研究を実施した。(1)熊阪台州の思想的な営みの現れともいえる彼の蔵書(曳尾堂文庫)は幕末に処分され、第二次大戦後さらに散逸したが、その所在はどうなっているのか。(2)処分された曳尾堂文庫の移転先(山形市半沢家)と熊阪家との関係ないしは地域的な交流の有無・文化的な背景はどんなものか。(3)曳尾堂文庫の全容解明は可能か。 上記の台州の旧蔵書発見を端緒とした文献調査・実地調査の結果、1)従来知られていなかった曳尾堂文庫の蔵書目録を発見した。2)曳尾堂文庫が売却された時点(幕末・第二次大戦後)は、日本国内の文献が大量に移動(売買)された時期に重なり、半沢家がその結節点のひとつであったことが判明した。3)半沢家は仙台藩藩校の図書も多く購入しそれにより曳尾堂文庫の拡充がなったことが明瞭となった。4)それと関連して、仙台藩旧蔵書(具体的には青柳館文庫)の集積と散逸の過程が明らかになった。
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