研究課題/領域番号 |
11610050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岡田 暁生 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (70243136)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 時事オペラ / メロドラマ / ハリウッド映画 / 映画音楽 / グランド・オペラ / 楽劇 / オペラ / 映画 / 新即物主義 / モンタージュ / クイマール共和国 / 大衆娯楽 / キャバレー文化 / ヒンデミット / クリシェネク |
研究概要 |
時事オペラとは1920年代に大流行したオペラのジャンルである。特徴としては、歴史上の英雄などの代わりに平凡な市民を主人公とする日常生活を描いている点、ジャズの影響、3つから5つの大きな「幕」に分割する代わりに、映画のような短い「場面」の合成から出来ている点、しばしば音楽的モンタージュの技術を使う点などが拳げちれる。 本研究は1920年代のドイツの時事オペラを「メロドラマ」という視点から分析することを試みた。メロドラマとは十九世紀にパリを中心として大流行した大衆演劇であり、代表的な作家にスクリーブやピクセレクールらがいる。「個人的心情(恋など)と公的義務の間の板ばさみになる個人」「感動的クライマックス」「タブロー」といったメロドラマの作劇術は既に十九世紀オペラに多大な影響を与えていた(とりわけマイヤベーアらのグランド・オペラ、ヴェルディやプッチーニのイタリア・オペラ、そしてワーグナーの楽劇)。そして1920年代の時事オペラには、こうしたメロドラマの作劇術が、きわめて日常的な状況設定の中で、ほぼそのまま温存されているのである。また、危機的状況では調性の定かでない楽想を、クライマックスではロマンチックな調性カタルシスを用いる音楽的手法の点でもまた、時事オペラは十九世紀オペラの伝統を忠実に継承していると言える。また一方、こうした時事オペラの作劇術は、二十世紀のハリウッド映画のそれの前段階でもあると見て取ることが出きる。今後は十九世紀のメロドラマおよびグランド・オペラと二十世紀のハリウッド映画の、音楽的・ドラマトゥルギー的な関連を探ることが課題であると考える。
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