研究課題/領域番号 |
11610062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美術史
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
今橋 理子 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 助教授 (70266352)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 江戸時代絵画 / 花鳥画 / 動物表象 / 図像学 / 円山派 / 絵画と文学 / 説話と図像 / 博物図譜 / 江戸絵画 / 表象 / 民俗伝承 / 動物表現 / 博物学 / 江戸文化 |
研究概要 |
本研究は3年間にわたり行なった。まず1999年と2000年は、日本各地に散在する江戸時代動物画の作品について所在調査を行い、写真資料や作品データを多数集めた。その調査作業上で明らかになったことは、以下のような点である。すなわち江戸時代の動物画には、東アジア世界に共通する伝統的な「花鳥画」の文脈とは異った、「独自」の意味を有した作品が数多く存在するという点である。伝統的な花鳥画の主題は、多くの場合「長寿」や「富貴」といった「吉祥」を意図したものである。しかし江戸時代の「動物画」では、それらとは無縁な、江戸時代当時の「社会風刺」や「民俗信仰」が表わされていることが発見されるのである。そうした発見は、江戸時代花鳥画研究全体にとって、新たな視点を拓くものと確信されたので、いくつかの作品に関して作品解釈のし直しを行ってみた。しかしこの作業では、すでに現代では失なわれてしまった「言説」や「ことば」、また「慣習」や「風俗」といったものを探り出し、再生してみることが必要となり、思いのほか難解であった。よって、こうした民俗学や文学の傾域に明わる部分での調査・研究も重要と考えたので、2000年および2001年においては精力的に他分野における動物表象に関する知見も集めるようつとめた。こうした経過を経て、本研究の成果のひとつとして「(月の兎)の図像と思考(上):(下)」(『学習院女子大学紀要』第3・第4号、2001年3月・2002年3月)を発表。中世以来の文学・芸術・民俗また宗教において、(兎)が日木文化の中に様々に(形象)として表われた意味を考察した。さらに(兎)というテーマだけにとどまらず、犬・鷹・猿・虫についても現在も研究・執筆を継続中であるが、それらについては一括して発表したいと考えており、2003年度中には『江戸の動物表象』(仮題・東京大学出版会)と題した著作を上梓する予定である。
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