研究課題/領域番号 |
11610094
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
佐久間 尚子 (財)東京都老人総合研究所, 言語認知部門, 助手 (70152163)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 健常老化 / 言語 / 語想起 / 意味カテゴリー / 人名 / カテゴリー |
研究概要 |
人は生涯に膨大な単語知識を貯える一方、加齢にともない単語を検索し生成する能力が低下する。特に、人名が思い出しにくくなると言われている。本研究は、一定時間に言葉を想起し生成させる「語想起課題」を用いて、高齢者の語想起能力を検討した。 健常高齢者50名(平均73.2歳、66-83歳)と若年者50名(平均20.1歳、18-25歳)を対象に、語頭音(例、「か」で始まる)、生物、人工物、固有名詞などにわたる48カテゴリーの語想起実験を行った。くり返しと不適切な反応を除く、若年群の22,543語と高齢群の16,950語の生成語を分析し、以下の知見を得た。1.高齢者は総じて若年者より生成語数が少なかった(若年群の平均約75%の生成率)。2.人名の生成(若年群の平均54%の生成率)は最も困難であった。3.生成語数の時間的推移をみると、高齢者は若年者に比べ、開始直後から生成語数が少なく、制限時間(本研究では30秒)の影響は低下の本質的な原因ではなかった。4.48カテゴリー別に、高齢群と若年群の生成語の内容一致度を検討したところ、語頭音、人名、抽象語を除き、生成語の内容は概ねよく一致した。特に、動物と地名では、両群がほぼ同様の語を生成したのに対し、人名では半数以上の生成語が両群で異なった。以上より、高齢者の語想起能力は総じて低下するが、これは主に開始時点での語彙検索能力の低下に由来し、制限時間の影響ではないことが示された。また、人名の語想起は、若年者でも相対的に困難であり、特に高齢者で顕著となることが示されたが、これは、生物、人工物、地名の語想起が、世代間に共通の(時の変化の少ない)語彙に基づいて行われるのに対し、人名の語想起が、世代間で異なる(時の流れに移ろいやすい)語彙に基づいて行われるため、相対的に想起困難が生じたものと推察された。
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