研究概要 |
水野(1998)は,分散効果の原因が分散呈示時の記憶の再活性化量にあるとする再活性化説と,その数理モデルである再活性化モデルを考案・提起し,その妥当性を検証した。 平成11年度は,この再活性化モデルを基に,個々の学習者に応じた効果的な分散学習スケジュールを設定するための2つの原理を考案した。そして,各原理の有効性を実験的に確認した上で(水野,1999a, b),2原理を組み合わせた分散学習方式,Low-First方式の効果,効率,及び,動機づけ効果を実験的に検証した(Mizuno,1999;水野,2002a)。その上で,これらの方式を遠隔教育で使用している1.HTML(水野,2000a, b, Mizuno,2000),2.Java Script(水野,2000b)の学習用のCAIに適用し,その有効性を実践的に検証した。 平成12年度は,Low-First方式で学習しても再生率が上昇しない被験者に着目し,その原因が作業記憶容量の個人差にあることをシミュレーションで明らかにした(水野,2000c)。そして,こうした個人差に対応するための原理3を考案し,その有効性を実験的に確認した上で(水野,2000d, e, f),これを追加した改良Low-First方式の効果をCAIで実践的に検証した(水野,2001d)。 平成13年度は,より実践的な観点から,改良Low一First方式の効果の持続性(水野,2001a),及び,課題の難易度の違いへの適用力(水野,2001b)を,実験的に検証した.その上で,この方式をインターネットを介して利用できるCAIに適用し,その短期的効果・効率だけでなく,教育実践で重要な,1.長期的効果(水野,2002b),2.動機づけ効果(水野,2002c)についても検討・検証し,あらゆる面で優れた分散学習方式,改良Low-First方式,及び,そのCAIを完成した。
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